好投手擁して優勝候補の大阪桐蔭と中京大中京
第93回選抜高校野球大会が19日に開幕する。昨年は新型コロナの感染拡大によって中止になっただけに2年ぶりの開催を待ちきれないファンも多いだろう。
今大会の優勝候補筆頭に挙げられているのが、松浦慶斗、関戸康介の左右の好投手を擁する大阪桐蔭。さらに昨秋の東海大会を制し、最速151キロ右腕・畔柳亨丞(くろやなぎ・きょうすけ)を擁する中京大中京(愛知)も前評判が高い。
大阪桐蔭は昨秋の近畿大会決勝で敗れた智弁学園(奈良)と、中京大中京は昨秋関東大会4強の専大松戸(千葉)と初戦を戦う。仮に両校がともに勝ち上がれば準決勝で対戦する可能性がある。
大阪桐蔭は3度のセンバツ制覇
高校野球の長い歴史を牽引してきた大阪勢と愛知勢。実はセンバツ優勝11回ずつでトップに並んでいる。3位タイが兵庫と神奈川の優勝6回なので、いかにこの両府県が春の甲子園で躍動してきたかが分かる。
大阪勢のセンバツ初優勝は1937年の浪華商(現大体大浪商)。決勝で中京商(現中京大中京)を破って紫紺の大旗をつかんだ。浪華商は1955年にも優勝している。
大阪勢2度目の頂点は1949年の北野だった。決勝は芦屋(兵庫)との延長12回の激闘を制して大阪の公立校として唯一の全国制覇を果たしている。
1981年、82年はPL学園が連覇。さらに1987年には立浪和義、片岡篤史、野村弘樹ら後にプロに進む豪華メンバーで同校3度目のセンバツ優勝を飾り、夏も勝ち上がって春夏連覇を果たした。
1990年は近大付が決勝で新田(愛媛)を破って初優勝。1993年には上宮が大宮東(埼玉)に完封勝ちして初の頂点に立った。
21世紀に入ると大阪桐蔭時代が到来する。藤浪晋太郎(現阪神)―森友哉(現西武)のバッテリーで春夏連覇した2012年、履正社との大阪決戦を制した2017年、根尾昂(現中日)や藤原恭大(現ロッテ)を擁して2度目の春夏連覇を果たした2018年と3度センバツを制した。
中京大中京はセンバツ4度優勝
一方の愛知勢初優勝は大阪よりも早い1934年。東邦商(現東邦)が決勝で浪華商に逆転サヨナラ勝ちして頂点に立った。
さらに1936年には愛知商、1938年には中京商(決勝は東邦商と愛知対決)、1939年には東邦商が2度目、1941年には東邦商が3度目の優勝。8年間で愛知勢が5度も優勝している。
1956年には中京商が2度目、1959年には3度目、1966年には4度目の頂点に立ち、同年は夏も制して春夏連覇を果たした。
1989年は山田喜久夫(元中日)を擁した東邦が、決勝で元木大介(現巨人ヘッドコーチ)のいた上宮に逆転サヨナラで優勝。延長10回裏、白球が外野を転々とする間にホームインした劇的なクライマックスは今も語り草だ。
2005年には堂上直倫(現中日)のいた愛工大名電が初優勝。記憶に新しい2019年は石川昂弥(現中日)の投打にわたる活躍で東邦が5度目のセンバツ制覇を果たした。
勝利数は大阪が全国最多も学校別では東邦が1位
ちなみにセンバツの通算勝利数では大阪が203勝で1位、愛知は171勝で兵庫と並んで2位につける。4位の東京が125勝だから兵庫を含めた3府県が飛び抜けた状態だ。
学校別に見ると、東邦が通算56勝で全国1位、中京大中京が55勝で2位と愛知勢がワンツー。「春の東邦」の異名通り、5度のセンバツ制覇は全国最多だ。中京大中京は今大会で2勝以上すれば再び全国トップに躍り出ることになる。
PL学園が48勝で県岐阜商と並んで勝利数3位だが、休部しているため今のところ増える見込みはない。3度のセンバツ優勝を誇る大阪桐蔭も勝利数では26勝で13位にとどまるが、これからさらに積み上げていくだろう。
今年は桜の開花も早いと予想されている。「春はセンバツから」のキャッチフレーズ通り、待ちに待った球春の足音が聞こえてきた。
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