注目の最速152キロ右腕
「芯がすごく強いですね」
市和歌山の小園健太を一言で表すとどんな投手なのかを、投手を担当する舩津直也コーチに尋ねると、こんな答えが返ってきた。
昨夏の練習試合で最速152キロをマークし、一気に注目を集めた右腕は、高校入学直後の1年春からマウンドに立ち、夏には140キロ半ばの速球を投げ込み、早々から関係者を唸らせていた。市和歌山を今後どこまで押し上げていくのか、早くから将来も嘱望されていた。
だが、小園にとって空白だった時期がある。その直後の1年秋だ。ベンチ入りはしていたが、その速球は鳴りを潜めた。フォームのバランスを崩し、調子を落としていたのだ。
「どこかを痛めたとか、違和感があったわけではないんですけれど…。投げていくうちにおかしくなって、ボールが思うように走らなくなったんです」
1年上に一昨春のセンバツ8強入りの原動力となったエース左腕・岩本真之介がおり、その秋は岩本が主戦を担っていたとはいえ、マウンドに立てない悔しさは計り知れなかった。チームも秋の県大会の準決勝で敗れて近畿大会出場を逃し、長い冬を過ごすことになった。そのため、昨冬は体作りとフォーム固めに時間を費やし、体の細部までを見直すことに努めた。
春季大会から実戦復帰するはずが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で復帰は見送られた。休校、練習自粛と思うように練習できない時間もあったが、その時間を体作りなど鍛錬の時間にしっかり充てられたことも、現在の小園に繋がった部分は多いのかもしれない。