井上朋也、山村崇嘉、西川僚祐ら関東を代表するスラッガー
8月17日に幕を閉じた2020年甲子園高校野球交流試合。春のセンバツ中止に始まり、例年とは何もかもが違うシーズンとなった高校野球だが、たった1試合の甲子園で多くの球児が輝きを放った。今回は、甲子園交流試合に出場した選手の中から、今秋ドラフト候補となるであろう野手たちを紹介していく。
関東勢ではともに優勝経験のある2校から、3人のスラッガーを紹介する。まずは、1年夏の甲子園からスタメン出場を続けてきた花咲徳栄の井上朋也だ。鳴門との1回戦で4打数3安打2打点と鮮烈な全国デビューを飾った井上は、2年夏にも甲子園出場。明石商との初戦で敗れたものの4番として出場し、今年のドラフト候補である中森俊介から安打も放った。大分商との交流試合では2打数無安打に終わったものの、高校通算50本塁打を誇る右のスラッガーだ。
続いて、東海大相模からはともに150発カルテットの一角である山村崇嘉、西川僚祐だ。昨年までは一塁での出場が多かった山村は、プロ入りを見据えて遊撃に挑戦。投手としても140キロを超える速球を投げ込むなど、高い身体能力を誇る。この夏の練習試合では木製バットで本塁打を放つなど、対応力も見せている。甲子園交流試合では3打数無安打に終わったものの、超攻撃的2番打者として存在感をアピールした。
西川僚祐は佐倉シニア時代に全国制覇を達成し、右打者ながら東京ドームの右翼席に叩き込んだ一撃は衝撃的だった。高校でも1年夏から4番を打ち、2年夏には3番左翼で全国デビュー。2年秋までに53本塁打を放つなど、どこまでその数字を伸ばすのか注目されてきた選手だ。大阪桐蔭との甲子園交流試合では4番に座り、4打数1安打。ヒットエンドランを決めるなど、長打だけでなく右打ちもできるところを見せた。
大阪で凌ぎを削る2強のドラフト候補
続いて大阪が誇る2強、大阪桐蔭、履正社から2人ずつを紹介したい。
大阪桐蔭の左右のスラッガー・西野力矢、仲三河優太は既にプロ志望を表明している。中学時代は硬式の南大阪BCでプレイし、当時から話題のスラッガーだった西野は、1年秋から名門で活躍。2年秋には公式戦11試合で3本塁打を放ち、チームを近畿大会準優勝に導いた。東海大相模との甲子園交流試合では3打数無安打に終わったが、高校通算31本塁打の打棒は、プロでも輝きを放つことだろう。
仲三河優太は中学時代、小山ボーイズで全国大会準Vを経験。入学当初は投手としても期待されていたが、調子を落として打者に専念。2年夏からはクリーンナップを務めるまでになった。秋には西野同様、11試合で3本塁打を放つなど、名門の4番に成長した。今夏は大阪の独自大会直前のケガの影響で、出場は甲子園交流試合の1打席のみ。その1打席で安打を放つなど、万全の状態でない中でも勝負強さを見せた。
履正社の関本勇輔は、元阪神・関本賢太郎氏を父に持つ強肩強打の捕手だ。優勝した昨夏の甲子園では出番がなかったが、秋からは主将に就任し、4番捕手としてチームを牽引。公式戦11試合で4本塁打28打点の大暴れで、チームを選抜に導いた。今夏の大阪独自大会ではライバル・大阪桐蔭を破り優勝、星稜との甲子園交流試合では2安打1打点に3度の盗塁阻止と、攻守に躍動した。
関本の前の3番を主に打っていたのが、小深田大地だ。1年夏からクリーンナップを打ち、高校通算34本塁打を放った。昨秋は公式戦11試合で打率.541、2本塁打、17打点と活躍を見せ、関本とともに近畿大会4強進出に貢献した。大阪の独自大会、甲子園交流試合を通してもハイアベレージを残し、持ち味を発揮してみせた。
5季連続甲子園を逃した関西の逸材たち
最後に、ともに1年夏から3季連続で甲子園に出場し、この夏の甲子園交流試合にも出場した2人を紹介する。
明石商の来田涼斗は、今や高校野球ファンの間でその名を知らない者はいないと言っても過言ではないだろう。入学直後からレギュラーに定着すると、1年夏の甲子園でも4打数2安打の鮮烈デビュー。2年春・夏は連続で全国4強に進出し、一躍全国区の存在となった。1番打者ながらその魅力はフルスイングで、高校通算34発を記録。チームメイトの中森俊介とともに3年間、高校野球界を引っ張ってきた。
ボーイズ日本代表として世界一を経験した細川凌平は、智弁和歌山でも1年夏から甲子園に出場。2年春・夏には中堅のレギュラーとしてチームを牽引してきた。身長174cmと決して大きな選手ではないが、昨夏の明徳義塾戦ではホームランを含む3安打を放つなど、パワーも兼ね備える。昨秋公式戦終了後には、高卒でのプロ入りを見据えて遊撃に転向するなど、プロ志向も強い選手だ。
コロナ禍における調整不足もあり、たった1試合の甲子園交流試合で打力を発揮できた選手は少なかったが、彼らが次のステージでその実力を証明してくれることを期待したい。
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