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ロッテから2安打の中道大波 夢は「クラブ選手権Vとプロ入り」

2018 6/15 16:57永田遼太郎
中道大波,ゴールドジム・ベースボール・クラブ,ⒸSPAIA

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元帝京高野球部主将、通算34本塁打

一度聞いたら忘れないインパクトの強い名前である。
彼の名は中道大波(なかみち ひろなみ)という。 身長186㎝、体重94㎏。大柄な選手が多いゴールドジム・ベースボール・クラブの中でもひと際目を惹く存在。

帝京高時代は主将を務め、通算34本塁打を放った大型の内野手だが、その体躯は当時よりひとまわりもふたまわりも大きくなっている。

「体重は(当時より)10㎏くらい増えましたね」

漫画「スラムダンク」の主人公、桜木花道を彷彿させる一本気な性格と太陽のような明るさを持っている。取材時もハキハキと質問に応え、人懐っこい笑顔で一度関わったら、つい応援したくなる不思議な要素を彼に感じる。

中道大波,ゴールドジム・ベースボール・クラブ,ⒸSPAIA

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昨年春から計画的に体重を増やした。 「やっぱり体重が落ちちゃうと打球が飛ばないので…。それが1年目だった昨年(2017年)の前半に感じたことです。ちょっと体重が落ちてしまった時期に、ちょうどバッティングのスランプも重なっていたので…」

高校時代は82㎏だった体は、食を意識することで現在は94㎏に。体重の増加と比例するように打球の速さ、飛距離も変わった。

「どちらかというと食べるもの、食べる量を意識しました。(ジムで)ウエイトももちろんしましたけど、簡単にいえば、『お腹が空いたな』という時間を出来るだけ作らないようにしたんです」

朝昼晩の食事の他に、間食をする時間を増やし、鳥のササミなど脂肪分が少ないものを出来るだけ摂取。その成果が一つの形になって表れたのが昨夏の全日本クラブ選手権だった。

「そのときに打球がこれまでと全然違うなと感じました」

大会3日目の準々決勝、浜松ケイ・スポーツBC戦では自身でも納得が行く会心の一発を放ち、チームを勝利に導いた。さらにこの春に行われた都市対抗野球大会東京都一次予選でも打った瞬間それと分かる特大のアーチをかける。〝高校通算34発″の実績が伊達じゃないことを証明した。

駒澤大中退も遠回りの中で成長

試合中、守備位置に散る際は必ず一礼をしてからグラウンドに入る。今、野球を続けていることに感謝の意を示すためだ。

忘れてはならない過去がある。

帝京高を卒業後、中道は1年間だけ東都大学野球連盟の駒澤大学で過ごしていたが、先輩とそりが合わず、短気を起こし、その秋に同大を中退した。

1年春からスタメンに名を連ねるなど、華々しい大学デビューを飾った彼だったが、自分の幼さが原因で一度はその先の夢も諦めかけた。

「大学を辞めたのは自分が悪かったんです。もちろん部内のいじめとかそういうことではなくて、先輩と少し揉めてしまって…。僕が生意気だったんですよ。それもあって大学を辞めたのに、自分から図々しくどこかで野球を続けて行くのもどうかなって最初のうちは思っていました。野球は勿論、続けたかったんですけど、もうやれないだろうなとも思っていたので…」

そんな悩める中道に声をかけたのが、ゴールドジム・ベースボール・クラブの手塚栄司監督だった。一度は諦めかけた夢を追いかけるチャンスをくれたかけがえのない恩人。その恩に応えるためにも、誰よりも真摯に野球に取り組もうと心に決めた。

中道大波,ゴールドジム・ベースボール・クラブ,ⒸSPAIA

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その姿勢はグラウンド内の彼を見ていても感じることが出来る。

たとえチャンスで凡打をしても、際どいコースでストライクをとられても、潔くベンチに引き返す。その姿は過去の自分を戒め、今の自分があることを感謝しているかのようだ。 だからこそ5月21日、府中市民球場、都市対抗野球大会東京都二次予選。セガサミーに敗れた試合後は、人一倍悔しさが沸いてきた。 「悔しいですね。どちらも正直負ける気はしなかったので…。昨日なんて(チームで)13本もヒットを打っているんですよ。でも、自分を含めてチャンスであと1本が出なかった。流れもこっちに持ってこれなかったですし、そこが悔しいです」

チーム全体のミーティングでは、手塚栄治監督から野球に対するひたむきな姿勢が足りないと指摘された。

試合は1対11で7回コールド負け。大敗直後に関わらず、チームメイト同士でじゃれ合っている選手たち。たとえそれが中道自身ではなかったとは言え、そうした状況に自分も立っていながら、それを当たり前としてとらえていた自分自身が情けなかった。

企業チームと現時点の自分達との間に生まれた歴然とした差、この先、更なる高みを目指すために何が足りないのかをその場で痛感したのだ。

「まずは全日本クラブ選手権優勝」

目指す選手像はスランプが少ないバッターだ。

日々の仕事に追われ、練習時間は限られているが、仕事が終ると東陽町にあるゴールドジムの室内練習場に出向き、マシンを相手にひたすら打ち込む。バットを振った量が、自身のスランプを少なくする唯一の近道と考えているようだ。

5月27日にロッテ浦和球場で行われた千葉ロッテとのプロアマ交流戦(対千葉ロッテ)では、同級生で先にプロ入りした成田翔からもレフト前にヒットを放つなど、3投手から4打数2安打の活躍。上(プロ)の世界で通用することを証明した。

中道大波,ゴールドジム・ベースボール・クラブ,ⒸSPAIA

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そんな中道が今後の夢について語る。

「まずは秋の全日本クラブ選手権の優勝です。その先に(プロへ)行けるなら行きたいです」

高校時代にもドラフト候補と囁かれた。それから3年――。
遠回りこそしてきたが自身の成長を、感じることが出来た。
さあ、夢舞台への準備は出来た。あとは結果で示すのみ。ここからビッグウェーブを巻き起こせ!

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