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ボーイズリーグの「通達」が波紋…今こそ子供たちの未来と野球界発展のために汗をかこう

2025 9/17 06:30SPAIA編集部
イメージ画像,ⒸIvan Davydenko/Shutterstock.com
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ⒸIvan Davydenko/Shutterstock.com

「脱退し、他リーグに加盟したチームとの交流を禁止」

学生野球界が何かと騒がしい。高校野球の名門・広陵が部員の暴行事案のため夏の甲子園1回戦終了後に出場を辞退。中井哲之監督は退任した。

すると、加害者とされた生徒の1人がSNS投稿で名誉を傷つけられたとして、名誉毀損で東京地検に刑事告訴。事態は泥沼化の様相を呈している。

そんな中、公益財団法人日本少年野球連盟(ボーイズリーグ)の「通達」が波紋を広げている。公式HPで下記のような通達文書が9月9日に公開された。

「当連盟から脱退し、他リーグに加盟したチームとの交流(練習試合・他リーグとの交流試合)を禁止する。但し、他主催者による大会での交流はその限りではない。脱退し他リーグに加盟したチームは、当連盟の規約に従えないために脱退しているので当連盟との交流は必要ないため。以上」

何らかのトラブルがあったことは推察できるが、短い文面だけでは通達に至った経緯や理由は分からない。

そこでSPAIAが日本少年野球連盟に問い合わせたところ、あくまで同連盟に加盟するチームに発したものであり、連盟外のチームには効力も規制もないとした上で「ほとんどの他リーグのチームに対しても影響することはありません」との回答だった。

また、「当連盟は他リーグに先立ち、指導者のライセンス制度を制定し、毎年の講習を義務づけ指導者の質の向上を目指し、選手の育成に携わるもの全てを対象とし、ある意味、指導者等に勉強という負担を義務づけております」と説明している。

とはいえ、突然の通達が憶測を呼んだことも確かで、SNS上では批判的な声も少なくない。

高崎中央、都筑中央ボーイズなどがポニーリーグ移籍

公式HPによると、ボーイズリーグは1970年に28チームでスタート。今では全国に小学生の部、中学生の部を併せて約725チームもあるという。

これまで多数のプロ野球選手を輩出。リトルシニア、ヤング、ポニーなど中学硬式野球の他リーグと比べても屈指の大所帯だ。

ただ、全国的な強豪だった高崎中央ボーイズ(群馬県高崎市)が、昨年8月にボーイズリーグを脱退し、ポニーリーグに移籍。神奈川県横浜市の都筑中央ボーイズもポニーリーグに移籍した。

チームの所属選手が増えれば増えるほど、ベンチに入れない選手の出場機会が減る。そこで、複数チームに分けて1大会に出場できたり、交代してベンチに下がっても再び試合に出られるリエントリー制度があったり、背番号のない補欠選手をつくらないことを理念に掲げるポニーリーグの特長が、チームのニーズと合致した側面もあるだろう。

最も大切なのは野球界の未来を担う選手たちであり、決して周りの大人ではない。日本の人口が減る一方で、野球人口の減少が危惧される今、お互いの言い分があるにせよ、分断より協調に向かうべきではないだろうか。今後のさらなる発展のために子供たちが夢を見られる野球界であることを切に願う。

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