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関メディベースボール学院中等部がポニーリーグに転籍、井戸伸年総監督の狙いとは?

2023 4/8 06:00SPAIA編集部
ヤングリーグ春季大会で優勝した関メディベースボール学院,関メディベースボール学院提供
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関メディベースボール学院提供

ヤングリーグ最後の公式戦で優勝、4月からポニーリーグに加盟

兵庫県西宮市の野球専門校「関メディベースボール学院」中等部が全日本少年硬式野球連盟「ヤングリーグ」を脱退し、4月からアメリカ発祥の「ポニーリーグ」に加盟した。

関メディは3月下旬に倉敷マスカットスタジアムで行われた第31回ヤングリーグ春季大会に出場。初戦でTrust愛知ヤングを8-6、2回戦でヤング神戸須磨クラブを8-1、準々決勝で府中広島’2000ヤングを8-0、準決勝で新居浜ヤングスワローズを11-2、決勝で兵庫加古川ヤングを8-2で破って初優勝した。

ヤングリーグ春季大会で優勝した関メディベースボール学院

関メディベースボール学院提供


井戸伸年総監督が最優秀監督賞、才田凱斗内野手が最優秀選手賞を受賞。ヤングリーグ最後の公式戦で有終の美を飾った。

優勝するほどの強豪チームがリーグを転籍するのは異例。井戸総監督は狙いを説明する。

「ヤングリーグには8年間所属し、大変お世話になりました。生徒たちも様々な経験を積むことができ、今後の人生の糧になると確信しています。ポニーリーグに移ったのは同じ大会に複数のチームを登録できるからです。全員が大会に出場でき、選手がさらに成長できる環境だと判断し、移ることになりました」

高校野球でもそうだが、部員数が多ければ多いほどベンチ入りできない選手が増える。しかし、アメリカ発祥のポニーリーグでは、背番号をもらえない白い練習用ユニフォームの選手の存在を認めておらず、登録部員全員が試合に出られるよう部員の多いチームは複数のチームに分けて出場できる。

佐藤義則コーチや伊藤敦規コーチら元プロ野球の豪華指導陣が名を連ねる関メディは、中学時代からトップレベルの指導を受けられ、全国の強豪高校への進学実績も豊富なため、選手募集に応募が殺到している状況。新中学1年生も約60人が加入している。

ポニーリーグでは早速、4月22日から始まる春季大会・全日本選手権大会関西予選に4チームで出場予定。井戸総監督は「ポニーリーグでも存在感を示せるように頑張りたい」と意気込んでいる。

全員に出場機会を与えるポニーリーグの理念

ポニーリーグのPONYとは、Protect(守る)・Our(我々の)・Nation’s(国の)・Youth(青少年)の頭文字を取ったもので「我々の国家の宝である青少年の成長を守ろう」という理念を示す。

アメリカから世界各国に普及しており、日本では1975年に日本ポニーベースボール協会が創立。毎年、アメリカでポニーワールドシリーズが開催され、2013年には日本代表が優勝した。2018年にはヤクルト、巨人、阪神で活躍した広澤克実氏が第4代理事長に就任している。

ポニーリーグでは、スタメン9人は一度交代してベンチに戻っても再度試合に出られることも特長のひとつ。通常なら試合展開を考えて監督も選手交代をためらい、控え選手に出場機会が巡ってこないことも少なくないが、ポニーリーグの特別ルールは1人でも多くの選手を試合に出させるという理念に基づいている。

ホワイトソックス1Aでもプレー経験のある井戸総監督はそういった理念にも共鳴しており、「主役はあくまで子供たちです。大人のエゴで子供たちの人生を左右してはいけません。誰もが野球を楽しみ、誰もが野球を好きになる。未来の野球界のために、その手助けをすることが結果的に恩返しになると考えています」と声を大にする。

中学野球に革命をもたらしている関メディベースボール学院。ポニーリーグでの新たな挑戦が始まった。

ヤングリーグ春季大会で優勝した関メディベースボール学院

関メディベースボール学院提供


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