元女子プロ野球トッププレーヤーが監督就任
兵庫県西宮市の野球専門校「関メディベースボール学院」中等部に異例の女性監督が誕生した。
小西美加新監督がその人だ。名前に聞き覚えのある野球ファンも少なくないだろう。2010年に始まった女子プロ野球で兵庫スイングスマイリーズのエースとして最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の投手3冠に輝き、野手としても盗塁王のタイトルを獲得するなど「二刀流」として活躍。その後も大阪ブレイビーハニーズや京都フローラでプレーし、女子野球ワールドカップにも日本代表として出場した、女子野球のトッププレーヤーだった。
2019年に現役を引退後、世界各国への野球普及活動や子供向けのティーボール教室などをする傍ら、関メディ中等部でコーチとして指導。丸3年が経過した今夏、同学院の井戸伸年総監督から1年生チームの監督就任を打診された。
同学院がヤングリーグから今年4月にポニーリーグに転籍したのも、女性監督誕生のきっかけだった。アメリカ発祥のポニーリーグでは登録部員全員が試合に出られるよう部員の多いチームは複数のチームに分けて出場できる制度を設けており、1学年60人と大所帯の関メディでは中学1年生だけで3チームもある。そのうちの1チームで小西美加新監督が指揮を執ることになったというわけだ。
「最初は考えました。前例がなく、中学野球で女性監督なんて聞かないですからね。でも、女子野球選手が増えてる中で指導者の道を作るというか、女性が男性を指導することに憧れもあり、挑戦したいと思って引き受けました」
関メディベースボール学院提供
11月には初の公式戦となるポニーリーグの全日本選抜大会関西予選に出場。ここまで4試合して4連敗と苦しい戦いが続いている。
「采配面で思うようにいかないことが多くて苦労ばかりです。期待していた選手に結果が出なかったり、エラーが続出したり、ケガ人が出たり、テストで休んだり、計算通りにいかないことだらけ。それが楽しくもあります」
女子野球選手としては一流プレーヤーとして日の当たる道を歩んできたが、指導者、特にチームのトップである監督となるとまた違った苦労がある。「コーチ時代はアドバイスだけでよかったですが、全責任を負うという意味でコーチとは違います。いつも本当にこれで大丈夫かなという不安と隣合わせです」と悩める胸中を正直に吐露した。