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前オリックス海田智行氏が関メディベースボール学院中等部コーチ就任、ケガの教訓活かす

関メディベースボール学院の井戸伸年氏(左)と明石ボーイズの筧裕次郎氏,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

プロ通算61ホールドの中継ぎ左腕

2022年限りで現役引退した前オリックスの海田智行氏(35)が兵庫県西宮市の野球専門校「関メディベースボール学院」中等部のコーチに就任した。

海田氏は広島・賀茂高から駒澤大、日本生命を経て、2011年ドラフト4位でオリックスに入団。2016年と2019年には50試合以上に登板するなど中継ぎ左腕として活躍し、通算276試合登板、6勝20敗61ホールドの成績を残した。

2022年12月にTBS系「プロ野球戦力外通告2022」で取り上げられたためご記憶の方も多いだろう。阪神からの打撃投手のオファーは辞退し、趣味のキャンプ用品販売とオーセンティックバーをオープンする準備を進めることが一部で報道されていた。

日本生命の先輩でもあるオリックスの下山真二チーフスカウト(47)から関メディを紹介され、コーチ就任に至ったという。1月14日からチームに合流し、高松庵治ヤングストーンズ、明石ボーイズとの試合を視察。今後、11年のプロ生活で培った技術や経験を惜しみなく注入していく。

悔い残る2017年の左肘手術

「野球には何らかの形で携わりたいという思いはありましたが、店をやりたいという夢もあるんで、両立できる道を探していた時にお話をいただいきました。まだ試合を観ただけですが、僕が中学生の時よりはるかにレベルが高くて驚かされてます。まるで高校生を見てるような」

海田コーチ自身の中学時代は学校の軟式野球部でプレー。「当時は真剣でしたが、今の子を見るとあれを真剣と言っていいのかと思います。市の大会で1回勝つかどうかくらいでした」と苦笑いで振り返る。

家庭では2児の父として、4歳の長男には野球を教えており、「教えるのは好き」と話す目は真剣だ。

まだまだ新米コーチとして学ぶべきことは多いが、指導の指針となる経験がある。2017年、春先から左肘に痛みがあったが、前年に50試合登板、15ホールドを挙げていた左腕の離脱は戦力ダウンとなるため、チームから手術の許可はすぐには出なかった。

「チーム事情で肘の手術が先延ばしになり、注射を何本も打ってやってましたけど結局、一軍の力になれず、手術したのは9月でした。それなら早く手術しておけばという後悔はありますね」

同年は12試合に登板したのみ、翌2018年は4試合登板にとどまった。チームの方針が選手寿命に影響を及ぼしたとすれば悔いが残るのは当然だ。

「中学で変なクセや故障をしてしまうと、その子の人生や未来を潰しかねないんで、その責任はしっかり持って教えたい。中学生のケガって、投手で言うと登板過多や投げすぎに由来することが多いんで、その意識づけは必要だと思います」とケガの予防を念頭に置いている。

野球界への恩返し

野球人口の減少が叫ばれて久しい。中には豊かな才能を持ちながらケガのため断念せざるを得ない学生もいる。野球界全体を見れば、中学時代に合理的な指導を受けることは極めて重要だ。

「プロ野球の将来はこの子たちにかかってるんで、その土台の部分を作る一人の人間としてやっていきたい。生徒数も多いんで、全員に知識や技術の共有ができれば、野球界のピラミッドも大きくなっていくと思います」

第二の人生が始まったばかりの海田コーチは静かな口調に熱い思いを込める。佐藤義則氏、伊藤敦規氏ら豪華コーチ陣を誇る関メディに強力な“新戦力”が加わった。

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