近鉄同期入団の井戸伸年総監督のオファー快諾
プロ野球の近鉄、オリックス、ヤクルトでプレーし、昨年限りで現役を引退した坂口智隆氏(38)が兵庫県西宮市にある野球専門校「関メディベースボール学院」中等部の臨時コーチに就任したことが分かった。
坂口氏は16、17日に同学院中等部の選手を初指導。今後も月1回ペースで指導していくという。
きっかけは同学院の井戸伸年総監督(46)からのオファー。坂口氏は引退後、野球解説の仕事以外にも船上パーティーのトークショーやイベント出演など明るいキャラクターで引っ張りだこだが、2002年ドラフト同期で近鉄に入団し、気心の知れた井戸総監督から依頼を受けて快諾した。
「プロアマ問わず、いろいろなところで全国各地を回って少年少女から大人まで野球を伝えていきたいんです。その時に井戸さんから言っていただいて、近鉄時代からお世話になってるので恩返しじゃないけど、引き受けさせていただきました」
これまでも野球教室などで子供に指導したことはあったが、改めて「みんな野球をうまくなりたいんだなと分かって嬉しかったです」と笑顔を見せる。
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「選択肢を与えて、いい方向に導きたい」
自身の中学時代は神戸ドラゴンズに所属し、1学年上の現西武・栗山巧とともにプレー。厳しい練習を乗り越えたからこそ、その後、神戸国際大附属高時代にセンバツ出場し、プロで1526安打を放つことができた。身体的にも精神的にも大きく成長する中学時代に正しい指導を受ける必要性はよく分かっている。
「野球をやりたいと思える環境が大切。ヒットを打ちたい、速い球を投げたいという気持ちは常に持っていられるように」と力説する。
プロに入って最初に指導を受けたのが近鉄の鈴木貴久コーチ。現役時代は「北海の荒熊」の異名を取った強打者からプロでやっていく上での基礎を叩き込まれた。その後も様々な指導者に巡り合い、多くのことを学んだのは貴重な財産だ。それらを惜しみなく注入すれば、中学球児にとっては最高の教材となるだろう。
「野球に正解はないんで、言い切らないようにしたいですね。どんな打ち方でもいいし、いろいろ選択肢を与えて、いい方向に導いていきたいです」。そう語る表情は、すっかり指導者のそれだ。
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将来はNPBの監督が夢
昨年の日本シリーズでは解説も務めた。「プレーヤーとして携わりたかったという悔しさと優勝した嬉しさがありました」と正直に打ち明ける。
その上で解説の難しさも痛感。「全体が見えるんでプレーしている時とは全然違います。言葉で伝えるのは難しいです。コーチ業でもそうですが、いい勉強になりますね」と新たなチャレンジを楽しんでいるようだ。
いずれはNPBの監督になりたいという。コーチ業や解説、イベント出演など全ては明日への糧となるだろう。
招聘した井戸総監督は「経験値が違うし、現役選手の情報も持っているので、子供たちに近い存在。それに選手だけじゃなく、スタッフやトレーナーにとっても勉強になる。そういう意味でも期待しています」と狙いを明かす。
「グッチ」の愛称で親しまれ、引退後に開設したインスタグラムは早くもフォロワーが2.3万人に上っている。第二の人生を歩き始めた坂口氏の教え子たちが甲子園やプロで活躍する日が楽しみだ。
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