関メディベースボール学院中等部と明石ボーイズがエキシビションマッチ
大阪湾に浮かぶ人工島・舞洲(まいしま)。寒風吹きすさぶ真冬のベイエリアで熱い戦いが繰り広げられた。
2023年1月16日、大阪シティ信用金庫スタジアム。兵庫県西宮市の野球専門校「関メディベースボール学院」中等部と、同明石市の「明石ボーイズ」のエキシビションマッチが行われた。
学年ごとに数試合が組まれ、ナイターとなった中学3年生同士の“メインイベント”。スタンドから応援団が声を枯らすほど注目の一戦となったのは、数年後、いや数カ月後に高校野球界を沸かすかも知れない投打の「スーパー中学生」が対決したからだ。
関メディベースボール学院・金本貫汰外野手は身長180センチ、体重85キロと中学生とは思えない堂々の体格。U-15ワールドカップで侍ジャパンU-15の4番を務め、タイガースカップでは甲子園球場で特大本塁打を放り込んだスラッガーだ。
一方、明石ボーイズの福田拓翔投手は身長183センチ、体重74キロの長身右腕。2022年のジャイアンツカップなどで最速142キロをマークした切れ味抜群のストレートとカーブ、スライダー、スプリットを投げ分ける。
中学野球最高レベルの対決は、予想に違わぬハイレベルなものだった。
結果は2打数2安打で金本に軍配
金本は「1番ライト」で先発出場。約1年ぶりとなる福田との対戦は、1回裏にいきなり実現した。
当然ストレートで来るだろうと予想していた金本の裏をかくように、福田が投じた初球はカーブ。金本は「拍子抜けしました」と振り返る。
気を取り直して迎えた2球目は辛うじてファウル。「頑張って当てたというファウルでした」と球速に押されていたことを明かした。
それでも最後はタイミングを合わせてセンター前に弾き返し、打撃センスを見せつけた。
2打席目は3回裏。この時も先頭打者として打席に立ち、ライト前ヒット。結果的には2打数2安打で金本に軍配が上がった。
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最速142キロ右腕・福田拓翔の目標は藤川球児
とはいえ、福田も金本以外にはほとんど打たれていない。味方のエラーもあって4回3安打1失点で交代したが、多くの打者は振り遅れ、バットに当たっても詰まっていた。慣れない寒い夜の試合でも、中学レベルではずば抜けた能力を証明した。
試合後、福田は開口一番「打たれた気がしない。もう1打席やりたかったです」と負けん気の強さをのぞかせた。一方の金本は「思ってた以上にメチャクチャ速くて、投球練習を見たときからビックリしました。1年前より格段に速くなっていました」と正直に明かす。
さらに福田が口にした言葉が驚かせる。
「点を取られたくなかったんで、(走者が)塁に出たらギアを上げて三振を取りに行きました。塁にいない時は打たせて」
かつて阪神の剛腕・江夏豊が奪三振の最多記録を王貞治から記録するために、他の打者にわざと打たせて王貞治の次打席で見事に新記録を達成したという逸話を思い出す。「ギアの上げ下げ」は最近よく聞くとはいえ、中学生でそれを実践できる投手は数少ないだろう。
福田は目標の投手に藤川球児を掲げ、「浮き上がるストレートを目指して頑張りたい」と瞳を輝かせる。
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U-15日本代表の4番・金本貫汰の目標は前田智徳
一方の金本はその後も猛打炸裂し、4打数4安打1犠飛。6回2死二、三塁では決勝打となる逆転タイムリーを放ち、二盗も成功させるなど走攻守にわたる大活躍で勝利に貢献した。
目標に元広島・前田智徳の名前を挙げる。「目指すのはトリプルスリー。ヒットも長打も打てて走れてというのが理想です。一流のプロ野球選手になって小さい子に夢を与える存在になりたい」とコメントも大人顔負けだ。
3月にはワールドベースボールクラシックが開催されるが、いつか侍ジャパンでやりたいかと問われた金本は「もちろんです」と即答。目指すところは?との問いに「世界一です」と言い切った。
高校球児として甲子園での活躍が期待されるのはもちろん、将来的には2人がプロで対決、あるいはチームメイトとなってプレーする日もそう遠くないのではないか。今後の日本球界に語り継がれるかも知れない、長い長いライバルストーリーが幕を開けた。
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