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日本新へ2強を追う多田とケンブリッジ 陸上セイコーゴールデンGP(3)

2018 5/20 07:00SPAIA編集部
多田修平,ケンブリッジ飛鳥,Ⓒゲッティイメージズ
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地元の多田、目指すは9秒8台

昨年、彗星のごとく現れ、日本のトップへの仲間入りを果たした多田修平。そのきっかけとなったのが、昨年のゴールデングランプリだった。

得意のスタートで飛び出し、五輪金メダリストでもあるジャスティン・ガトリン(米国)に、70メートル付近までリードした。最終的には3位に終わったが、陸上ファンに「あの選手は誰だ」と思わせるほどのインパクトのある走りだった。

多田も昨年を振り返り、ゴールデングランプリがターニングポイントだったと語る。「予想外のことが起きて、そこから調子が上がっていった」

その後、日本学生個人選手権では追い風4.5メートルの参考記録ながら、9秒94をマーク。日本人初の9秒台争いに名乗りを上げた。

日本選手権では2位に入り、世界選手権の代表に。世界選手権でも100メートルで準決勝進出、400メートルリレーでは1走として銅メダル獲得に貢献。飛躍の1年だった。

だが、悔しい思いもしている。9月9日の日本学生対校選手権。100メートルの決勝で10秒07の自己ベストをマークしたが、一緒に走った桐生が9秒台をマークした。その快挙を後ろから見ることになってしまった。

「本当に悔しかった。ただ、その後も頑張れるきっかけになった試合だった」

冬季は二つの点を強化した。一つはスタートの技術の改善。周りから見ると、スタートが得意のように見えるが、多田自身はそうは思っていないようだ。

もう一つは、お尻周りとハムストリングスという、スプリンターに必要な筋肉の強化だ。多田というと、細身のイメージがあるが、今年は体が一回り大きくなった。

だからこそ、今季の目標は高い。

「9秒8台を狙っていきたいし、最低でも日本記録を更新したい。筋力もついて、自信がある」

今季はタイムこそ出ていないものの、関西学生対校選手権では、男子100メートルで55年ぶりとなる大会4連覇を果たした。上り調子で地元での大会に挑む。

武者修行帰りのケンブリッジ

リオデジャネイロ五輪の男子400メートルリレーでアンカーとして銀メダル獲得に貢献したケンブリッジ飛鳥(ナイキ)は、昨秋から「武者修行」に出た。

リオ五輪男子100メートル銅メダリストのデグラッセ(カナダ)ら有力選手が所属し、米アリゾナ州に拠点を置くチーム「ALTIS」の練習に参加した。

「常に世界のトップを感じられた。毎日が楽しみだった」

決して得意でなかったスタートや、細かいフォームなどを修正した。スタートでは足の位置を変え、力みのないスタートへと変更しようとしている。

今季の初戦は3月に米国で行われたテキサスリレーという大会。追い風4.1メートルの参考記録で、10秒22にとどまった。

国内初戦は4月29日に開催された織田記念。ライバルの山縣亮太(セイコー)との対決が注目されたが、追い風1.3メートルの中で10秒26。優勝した山縣に0秒09の差をつけられ、2位だった。

「自分が思っていた以上に伸びてこなかった。勝負のところで硬くなった」。そうケンブリッジは悔しがった。

ゴールデングランプリに参戦するケンブリッジは織田記念のレース後、こう語った。

「今日のリベンジを」

大阪の地で有言実行を目指す。

(終わり)