大阪国際女子マラソン大会新記録で3度目の優勝
「なにわの腹筋女王」の異名をとる松田瑞生(ダイハツ)が大阪国際女子マラソンで日本歴代5位となる2時間20分52秒の大会新でこの大会3度目の優勝を飾った。出場する大会で確実に結果を残すことから、「外さない女」としても知られる松田。データから、いかに外していないかを読み解く。
松田はこれでマラソン6戦4勝。4勝の内訳は、大阪国際女子で3勝、名古屋ウィメンズ1勝。負けたレースは海外のベルリンと、東京五輪の代表選考会だったマラソンチャンピオンシップ(MGC)の2回。いわゆる国内の通常大会では1度も負けていない。
この「外さない」理由について、ダイハツの山中美和子監督はこう語っている。「練習で決めたことは外さない選手。練習の積み重ねで今がある」。レース2日前の記者会見では「なにわのど根性走りで『松田旋風』を巻き起こす」と派手な言動が目を引いたが、地道な練習がレースを外さない勝負強さにつながっている。
ライバル一山麻緒は6戦2勝
松田の「外さない」っぷりを、松田とともに現在の日本女子マラソンを牽引する一山麻緒(ワコール)と比較してみる。
一山は松田と同じくマラソンを走った回数は6回。ただし、優勝は2回と松田よりも2回少ない。そのことからも、松田の安定感の高さがうかがえる。
一山をフォローするなら、優勝を逃した4回が、東京、ロンドン、MGC、東京五輪と、通常の国内レースではなかった(東京はワールドメジャーズとして海外のトップが集まるので、ほかの国内大会とはレベルが違う)。逆に名古屋ウィメンズ、大阪国際女子の勝率は100%で、松田と同じだ。
6戦目で高橋尚子は4勝、野口みずきは5勝
では、「レジェンド」たちと比較してみよう。比べてみるのは、五輪で金メダルを獲得した高橋尚子、野口みずきだ。松田と同様、6戦目までを比較する。
日本女子マラソン最初の五輪金メダリストとなった「Qちゃん」こと高橋は、6戦目時点で優勝4度と松田と同じだ。ただし、その1度にシドニー五輪が含まれている。
高橋に続いて金メダリストになった野口は6戦目時点で5勝と松田を上回っている。5勝の中にはアテネ五輪やベルリンもあり、負けた1度も世界選手権の銀メダルというのだから、その力は圧倒的だった。
松田も6戦目までの勝率だけを見れば、レジェンドに引けをとらない。松田がレジェンドになれるかどうかは、この後の成績にかかっている。
なお、高橋は7戦目以降に3度優勝し、当時の世界最高記録もマークした。野口は故障に悩まされ、7戦目以降は一度も優勝していない。
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