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日本新記録の泉谷駿介ら男子110mハードルが急速に世界レベルに達した理由

2021 7/4 06:00富田明未
左から高山峻野、泉谷駿介、金井大旺Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

日本選手権優勝の泉谷、今季世界3位の好記録

陸上の日本選手権で、男子110メートルハードルの泉谷駿介(順天堂大学)が優勝した。13秒06の日本新記録をマークし、東京オリンピック代表に内定。今シーズン世界3位に相当するタイムで、オリンピックでのメダル獲得も現実味を帯びてきた。

2位の金井大旺(ミズノ)は13秒22、3位の高山峻野(ゼンリン)は13秒37を記録し、泉谷とともに東京オリンピック代表に内定した。

さらに、上記の「3強」に加えて、村竹ラシッド(順天堂大学)が高い注目を集めている。決勝ではフライング失格になったものの、予選では日本歴代3位にランクインする13秒28をたたき出している。4人の自己最高記録を以下の表でまとめてみよう。

男子110mハードル「4強」の自己ベスト


東京オリンピックの参加標準記録が13秒32であることを考えると、日本の男子110メートルハードルにおける競技力が高くなっていることが分かる。

男子110mハードルの競技力が伸びている理由

男子110mハードルにおける日本のレベルが上がっている理由として挙げられるのが「用具の変化」だ。以前はハードルのバーは木製が使用されていたが、衝突した際に怪我をしやすいため、ぶつかると減速してしまうことが問題視されていた。

しかし、衝突しても痛くない材質に変更されたことで、減速せずに走ることができるようになった。思い切りハードルに向かえるため、低い姿勢での走行が可能になる。よりスピードが出やすい走行方法で選手は練習を積み重ね、世界に通用する結果を残せるようになったのだ。

また、選手たちのスプリントの能力自体も向上している。日本陸上競技連盟の強化方針として掲げたのは、前半からトップスピードでレースを展開することだった。ハードル間(インターバル)のラップタイムを意識して練習することで、前半からスピードを出したレース展開が可能になったのだ。

東京五輪でメダル獲得の可能性

現在の世界記録は、2012年にアリエス・メリット(アメリカ)が出した12秒80で、泉谷の記録とは0.26秒差だ。

また、2016年のリオデジャネイロオリンピックで金メダルを獲得したオマール・マクレオド(ジャマイカ代表)の記録は13秒05だった。今回泉谷が出した記録とわずか0.01秒差だ。

リオデジャネイロオリンピックの男子110メートルハードル決勝の記録を振り返ってみよう。

リオデジャネイロ五輪男子110mハードル決勝成績


今回オリンピックに出場する日本人選手3人の自己ベストから考えても、メダルを獲得できる位置に十分いることが分かるだろう。

陸上競技の国際競技連盟であるWORLD ATHLETES(ワールドアスレティックス)のホームページによると、世界ランキングは以下の通りだ。 

男子110mハードル世界ランキング


13秒06をマークした泉谷は、十分12秒台を目指せる位置にいる。これまで日本人選手がオリンピックでメダルを獲得する個人競技といえば、マラソンや競歩などが多かったが、9秒台に突入した男子100メートルとともに、東京オリンピックではハードルのメダル獲得も期待される。

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