日本バンタム級2位・与那覇勇気にワンサイド勝利
キックボクシングからボクシングに転向した那須川天心(24=帝拳)が4月8日、東京・有明アリーナで行われたデビュー戦(スーパーバンタム級6回戦)で日本バンタム級2位・与那覇勇気(32=真正)に判定勝ちした。
ボクシングの本場、アメリカ・ラスベガスなどで数々のビッグマッチのリングアナを務めてきたジミー・レノン・ジュニアが那須川天心の名前をコールする贅沢な演出。何度も大舞台を経験してきた天心は気合の入った表情でリングに登場し、抜群のスター性を感じさせた。
試合では、前に出る与那覇を巧みなステップワークでかわしながらコントロール。2回にはタイミング良くカウンターを決めてダウンを奪い、その後もスピード満点のパンチで一方的にポイントを重ねた。
試合後のインタビューでは「はじめまして、ボクシングファンの皆さん、那須川天心です!」と新人らしい第一声。試合前は「フワフワしてた」と明かし、「さらに進化して、必ずボクシングでも世界を獲ろうと思っています」と満足そうに語った。
スピード、テクニック、わざと大振りするなどファンを魅了するショーマンシップなど全てが一級品であることを証明したデビュー戦。今後、キャリアを積んで世界を目指していく上での課題は何だろうか。
打てなかったボディーブロー
デビュー戦としては申し分のない内容だったが、敢えてハードルを上げて見た場合、一方的に攻めながら倒し切れなかった点は物足りなさが残る。
課題を挙げるとすればボディーブローだろう。デビュー戦の6ラウンドでは、与那覇が頭を下げて出てくるためボディーを打ちにくいこともあり、ほとんどボディーブローを打たなかった。
一方的に攻めており、勝つことを最優先で考えれば無理に打つ必要もなかったとはいえ、倒すことを考えるとボディーブローは必要だ。ボディーを攻めることでスタミナを削り、相手が腹を守ろうとガードが下がれば顔面へのパンチも当てやすくなるからだ。
キックボクシングではボディーをパンチで攻めることは少ない。やはり、ボクシングへの適応という意味で、まだまだ伸びしろがあるのだ。
日本ランキング2位に完勝したことで、日本ランキング入りは確実。今後は日本王者クラスや海外のナショナルチャンピオンなどが相手候補となるだろう。
東京ドームで武尊と対戦したのが昨年6月。ボクシングに転向して1年も経っていないことを考えると、高いセンスを持っていることは疑いようがない。次はどれほど成長した姿を見せてくれるだろうか。早くも2戦目が楽しみになってきた。
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