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令和のパリで「山口百恵」と「伊調馨」に脚光?キューバの41歳ミハイン・ロペスが「五輪個人5連覇」で有終の美

2024 8/8 12:00SPAIA編集部
ミハイン・ロペス ヌニェス,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

シューズを置くパフォーマンスが話題に

日本時間8月7日、パリオリンピックの男子グレコローマン130キロ級で前人未到の大記録が誕生した。

キューバのレジェンド、ミハイン・ロペス ヌニェスがチリのヤスマニ・アコスタに6-0で完勝。2008年の北京大会以来、5大会連続となる金メダル獲得を達成した。

41歳のロペス ヌニェスは2004年のアテネで五輪初出場を果たし、その時はメダルには手が届かず5位。それでも続く北京で頂点に立つと、前回の東京で4連覇を達成。その後、いったん現役を引退していたが、競技復帰を決断してパリに参戦。ブランクを心配する声もあったが、絶対王者としての力を示した。

オリンピックの個人競技で同一種目の5連覇は史上初。そんな大偉業もさることながら、日本で話題を集めたのは“試合後のとあるひと幕”だった。

戦いを終えたロペス ヌニェスはマットの中央で履いていたシューズを脱ぐと、感謝を伝えるように頭上に掲げた後、マットの上にそっとシューズを置いた。レスリング界では現役引退の意思を示すパフォーマンスとしてお馴染みだが、このシーンが日本では「山口百恵みたい」と大きな話題を呼んだ。

1980年、日本武道館で行われた最後のコンサートでステージ中央にマイクを置き、芸能界を引退した伝説の歌手を彷彿とさせるような美しい引き際。日本人が出場していない階級ではあったが、その記録の偉大さと日本人の琴線に触れるパフォーマンスに熱い視線が注がれた。

レスリング界初、女子で唯一の4連覇達成者・伊調馨

また、今回の新記録達成によって脚光を浴びた日本人がもう一人いる。ロペス ヌニェスと同じレスリングのレジェンド、伊調馨だ。

伊調は2004年のアテネ大会から2016年のリオデジャネイロ大会にかけて、個人同一種目の4連覇を達成。これはロペス ヌニェスが東京大会を制するまでレスリング界唯一の大記録だった。

夏季オリンピックで同一種目4連覇を達成したのは、伊調とロペス ヌニェスのほかにポール・エルブストロム(デンマーク/ヨット・男子フィン級)、アル・オーター(アメリカ/陸上・男子円盤投げ)、カール・ルイス(アメリカ/陸上・男子走り幅跳び)、ベン・エインズリー(イギリス/セーリング・男子レーザー級、フィン級)、マイケル・フェルプス(アメリカ/競泳・男子200m個人メドレー)という計7名。この中で女子は伊調だけだ。

キューバの英雄によって掘り起こされた、日本が誇る2人のレジェンドの記憶と記録。引退後は後進の育成にあたることを表明しており、自らの記録を破るような新たな絶対王者の育成に期待したい。

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