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バレーボール「龍神NIPPON」、銅メダルに導いたエース石川祐希の実力とブラン監督の手腕

2023 7/27 06:00田村崇仁
石川祐希,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

ネーションズリーグ3位決定戦で世界王者イタリア破る

バレーボール男子の日本代表「龍神NIPPON」が、6月の開幕から10連勝と大旋風を起こしてきた世界トップ16チームによるネーションズリーグ(NL)で快挙を達成した。

7月23日、ポーランドのグダニスクで行われた3位決定戦で昨年の世界選手権を制したイタリアに3-2(25-18、 25-23、17-25、17-25、15-9)でフルセットの激闘の末に競り勝ち、前身のワールドリーグを通してNL初の表彰台となる銅メダル。大車輪の活躍を見せた主将の石川祐希(ミラノ)を中心に、海外リーグで心身とも成長したサウスポー宮浦健人(ジェイテクト)、アタッカー高橋藍(日体大)ら新世代が躍進して改めて強さを証明した。

日本男子の表彰台は五輪、世界選手権、ワールドカップ(W杯)を含めた国際大会では1977年W杯の2位以来、実に46年ぶりの歓喜となった。決勝ではポーランドが米国を3―1で下して優勝した。

個人部門で得点王の石川祐希、主将の役割

個人の部門別ランキングをみると、やはり特筆すべきは15試合で275得点を挙げ、断トツのベストスコアラー(得点王)に輝いた石川だろう。

表彰式でベストアウトサイドヒッターに選出された石川はベストアタッカーの部門でも237得点でトップに立ち、イタリア1部リーグでの経験と主将の役割を十分果たした。サーブ部門でも全体3位、サーブレシーブ部門でも2位と攻守での活躍をデータでも実証した。

3位決定戦では成長株の宮浦も大活躍。左腕からの強烈なサーブでサービスエース7得点。強打を含めて20得点を挙げ、石川の21得点に次ぐ勝負強さを見せつけた。

フランス人の「ブラン流」も浸透

今大会は緻密な戦略で躍進を支えた立役者の一人としてフランス人のフィリップ・ブラン監督の手腕も見逃せない。1992年バルセロナ五輪以来29年ぶりに8強入りした2021年東京五輪を経て、チーム戦術も「ブラン流」が着実に浸透。サーブ力を強化し、守りから攻撃のリズムにつなげる伝統の日本バレーが生き返った。

NLでは東京五輪覇者のフランスを3-1で破り、ブラジルも3-2で下して公式戦30年ぶりの金星を挙げるなど10連勝と快進撃。準決勝で世界ランキング1位のポーランドに敗れたものの、1964年東京五輪銅メダル、1972年ミュンヘン五輪金メダルの実績を持つ日本男子の「復活」を国内外に印象付けた。

石川は自身のSNSで「たくさんの応援ありがとうございました!みんなありがとう まだここから強くなる」とつづった。ブラン流で成熟度を高めるチームをけん引し、今秋のパリ五輪予選に立ち向かう。

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