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東京五輪金メダル・ティリ監督が日本代表にエール「大事なのは“どんな相手にも勝てる”と認識すること」

2022 7/21 06:00米虫紀子
フランス代表のジャーニ監督とパナソニックのロラン・ティリ監督,筆者提供
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筆者提供

現フランス代表ジャーニ監督と対面

新旧フランス代表監督が談笑する豪華なシーンに出くわし、思わず「お二人の写真を撮らせてください!」とお願いした。

現役時代はイタリア代表のスター選手として一時代を築き、今年からフランス代表を率いるアンドレア・ジャーニ監督(写真左)と、昨年の東京五輪でフランスに初の金メダルをもたらしたロラン・ティリ元監督(写真右)である。

7月5日から10日まで丸善インテックアリーナ大阪で開催されたバレーボールの国際大会・ネーションズリーグ男子予選ラウンド第3週には、日本を含む8カ国が集まり、熱戦を繰り広げた。

ティリ氏は現在、大阪府枚方市を本拠地とするVリーグ・パナソニックパンサーズの監督を務めており、ネーションズリーグ大阪大会を連日視察した。

今大会に出場したフランス代表には東京五輪優勝メンバーが多く含まれており、大阪大会の最終戦の後には、フランスの選手たちがティリ監督を囲んで名残惜しそうに話をしていた。その様子はまるで家族のようで、心温まる光景だった。

パリ五輪よりパナソニックを選択

ティリ氏がフランス代表監督に就任したのは2012年。その頃のフランスは世界ランキング21位と低迷しており、五輪出場からも遠ざかっていた。

ティリ監督は計画的な強化プログラムを作成し、選手の練習環境や意識の改革に着手。フランス代表は急速に力をつけ、2015年のワールドリーグ(ネーションズリーグの前身の大会)やヨーロッパ選手権で優勝。2016年のリオデジャネイロ五輪で3大会ぶりの五輪出場を果たすと、昨年の東京五輪で悲願の金メダルを獲得した。

パナソニックの監督に就任したのは2020年。当初は2020年に予定されていた東京五輪後に就任する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で五輪が延期となったため、2021年の東京五輪を終えるまではフランス代表監督と兼任。東京五輪を最後に代表監督を退任した。

地元開催となる2024年パリ五輪までの代表監督続投を要請されていたが、そのオファーを断り、パナソニックでの新たな挑戦を選んだ。

「非常に難しい決断でしたが、二度、五輪予選を勝ち抜いて(リオと東京の)五輪に出場した後で、パリ五輪に行くことよりも、この日本に来るというチャレンジは私にとって重要で、もう二度とない機会だと思ったので。私は新しいものに触れることや、チャレンジが本当に好きなんです」

代表チームは離れたが、9年間苦楽を共にし、世界一を勝ち取った教え子たちを見つめる眼差しは今も温かい。

「日本はこの10年間で最も進歩したチーム」

そして現在、ティリ監督がフランス代表と同様に熱い視線を向けるのが日本代表である。日本は長い低迷期を経て、昨年の東京五輪では29年ぶりのベスト8入り。今回のネーションズリーグでも、予選ラウンドで9勝3敗と大きく勝ち越し、5位で初のファイナルラウンド進出を果たした。ティリ監督は目を輝かせながらこう語った。

「ちょうどさっきフランスの選手たちと、『日本はこの10年間でもっとも進歩したチームだ』という話をしていたんです。今の日本は若く、非常にスキルが高い。ミスが少なく、なおかつエネルギーにあふれている。それに、サーブという非常に優れた武器もある。特に石川(祐希)、西田(有志)、髙橋藍、大塚(達宣)、関田(誠大)はいいサーブを打っている。セッターの関田には試合を変える力がある。

それに今大会、他チームはサーブレシーブがあまり良くありませんが、日本はサーブレシーブがいい。アメリカ、フランスなどもサーブレシーブがいいですが、そういうチームは上位に来ている。日本は本当にいいプレー、いい試合をしている。私が思うに、今もっとも大事なことは、彼らが『自分たちはどんな相手にも勝てる』と認識すること。その自信を持つことです」

そう熱く語った後、「(ファイナルラウンドが開催される)イタリアで何が起こるか、楽しみに見守りましょう」と笑った。

その時点ではまだ予選ラウンドの最終順位が確定していなかったが、その後、予選ラウンド5位となった日本の準々決勝の対戦相手が、4位のフランスに決まった。 21日(日本時間22日1時)にイタリア・ボローニャで行われる日本対フランス戦、ティリ監督はどんな思いで見つめるのだろうか。

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