世界トップ選手に引けを取らない技術力・精神力
東京オリンピックでバレーボール日本男子の躍進に貢献した西田有志は、新天地・イタリアでプレーを続けている。今シーズンからイタリアセリエAのビーボ・ヴァレンティアに所属し、世界のトップ選手とともに技を競い合っている。
西田は身長186cmと小柄のため、世界トップクラスの選手が集まる世界最高峰リーグで通用するのか、心配する声もあった。しかし、力強いスパイクと威力のあるサーブを武器に、一際存在感を放っている。
東京オリンピックでは日本代表のオポジットを務め、攻撃の中心としてチームの勝利に貢献。中でも予選リーグ・イラン戦ではスパイク決定率56%と、チームメイトの石川祐希の24%を大きく上回った。第5セットのマッチポイントを握った局面では見事にスパイクを決めた。
日本はイランに勝利したことで、バルセロナオリンピック以来29年ぶりに準々決勝進出。チームの命運を託された若きサウスポーはプレッシャーをはねのけ、勝負強さを見せた。
東京オリンピック直前の紅白戦での右足首の捻挫や左足太ももの肉離れなど怪我に悩まされていた。オリンピックへの参加が危ぶまれている中でチームに合流。万全のコンディションではなかったはずだが、チームの勝利に貢献し、西田の精神的な強さが証明された。
世界トップクラスの弾丸サーブ
ジャンプサーブは西田の代名詞である。世界トップクラスの弾丸サーブは、東京オリンピックで世界から注目を集めた。サービスエースのたびに会場内のボルテージは最高潮。世界最高峰のセリエAでもその威力や相手レシーバーが対応できない場所を狙う正確な技術、観察力は通用している。
2022年2月9日のセリアA後半第1節ターラント戦では、得意のジャンプサーブを次々と決めた。ボールがレシーバーの腕を弾き飛ばすほどの威力があった。相手チームはサービスエースを防ごうとリベロを中心に4人のレシーバーで後方の守りを固めたが、西田はレシーバーの人数が増えても問題にせず、実に8本のサービスエースを決めた。サーブのたびにボールを狙う場所や回転軸を変えながら、レシーバーが対応できない攻め方は圧巻だった。
西田はこの試合でサービスエースを含めて29得点を挙げ、今シーズン3度目のMVPを獲得。得意のジャンプサーブが決まるほど、スパイクにも良い影響を与えているようだ。世界で通用するジャンプサーブは今後も大きな武器となるだろう。
同じく日本代表の石川祐希、高橋藍とともに世界最高峰リーグでさらなる高みを目指す西田。新天地で経験を積み、パリオリンピックでは東京オリンピックを超える結果が期待される。
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