イタリア・ミラノでの理想と現実
バレーボールのイタリアセリエAで活躍する石川祐希は、ミラノでの2度目のシーズンを迎えた。日本代表のキャプテンを務める石川は次のパリオリンピックに向け、更なる高みを目指している。しかし、待ち受けていたのは自身が望んでいた展開ではなかった。
石川祐希が所属するミラノは年明けから3連勝と好調をキープしたまま、プレーオフ進出を目指していた。しかし、石川はチームが好調の中で思ったようなパフォーマンスができずに悩んでいた。その原因として「アタック決定率の低さやサーブの効果が出ない」とBSフジスポーツセレクション『Volleyball Channel』内のインタビューで打ち明けている。
不調の石川は、相手のブロックを利用したワンタッチを狙うが失敗する。得意のスパイクが思うように決まらないのは相手が石川の動きを分析した上で対策を取っているからだろう。石川は自身が思い描くプレーができないことに焦りを感じた。バレーボール最高峰のリーグだからこそ立ち塞がる壁である。
チーム内での役割から安定したレシーブで貢献
思ったようなパフォーマンスができない石川だったが、チーム内で重要な役割を担う。それは、レセプション(サーブレシーブ)やディグ(サーブレシーブ以外のレシーブ)などディフェンス面でチームを支えることだ。石川はディフェンス面での役割を担ったことで、復調の兆しを見せ始める。
2月5日セリエA後半第7節のヴェローナ戦では安定したレシーブを見せ、両チームトップのサーブレシーブ成功率76%を記録した。チームはフルセットの末敗れたが、石川はディフェンス面で存在感を放つ。この試合が不調から抜け出すきっかけになった。
次節のチステルナ戦ではオフェンス面でも本来の力を発揮。威力のあるバックアタックやハイセットへの冷静な対応がチームの士気を上げた。石川は両チーム最多得点を挙げ、今シーズン2度目のMVP(マンオブザマッチ)を獲得。思ったようなプレーができない中、ディフェンス面の活躍が調子を戻すきっかけになった。
更なる高みとして世界のトップを目指す
石川は、今シーズンから日本とイタリアでのプレーを区別せず、同じ目線で取り組むという新たな意識が芽生えた。このきっかけになった人物は、チームメイトのフランス代表・パトリーだ。パトリーは東京オリンピック後、パフォーマンスの向上や自信を持ってプレーしていた。
石川はパトリーが活躍する姿を見て、「代表で活躍することは非常に重要」と語る。さらに、国の代表として試合に勝つことで個人のシーズンキャリアも上がると感じていた。
今後、石川は世界のトップを「個人のシーズン」と「日本代表」の両面で狙う。世界トップレベルのリーグでプレーを続ける石川は、各国のトッププレーヤーから良い刺激を受けているのは間違いない。2024年パリオリンピックでは、石川が日本男子バレーを引っ張り、表彰台に立つことを期待しよう。
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