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【大相撲】大関陥落の貴景勝はいばらの道?1場所で即復帰の難しさ示すデータ

2024 7/29 06:00SPAIA編集部
イメージ画像ⒸIvan Roth/Shutterstock.com
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カド番・貴景勝が負け越しで大関陥落

大相撲7月場所は横綱・照ノ富士が10回目の優勝を果たして幕を閉じた。千秋楽で琴櫻に敗れたものの、12勝で並んだ隆の勝を優勝決定戦で寄り切り、横綱の貫禄を示した。

一方で寂しいニュースもあった。カド番だった大関・貴景勝が5勝10敗と負け越して大関陥落が決まったのだ。

13日目に8敗目を喫した際は引退も取り沙汰されたが、現役続行の方向と伝えられている。来場所で10勝以上なら大関復帰できる特例での返り咲きを目指す。

貴景勝は2019年3月場所後に最初の大関昇進が決まり、5月場所は3勝4敗8休、7月場所は全休してわずか2場所で陥落したが、関脇に落ちた9月場所で12勝を挙げて大関に復帰。計30場所、大関として土俵に上がり、3度の優勝(小結時代も含めて4度)を果たした。

旧貴乃花部屋の出身で、力強い突き押し相撲で角界を盛り上げてきた人気力士。2020年には年間最多勝にも輝いたが、最近は度重なるケガに苦しんできた。

とはいえ、8月5日で28歳とまだ老け込む年齢ではない。もうひと花咲かせてほしいと願うファンは多いだろう。

最近20年の大関陥落力士と翌場所成績

ただ、一度陥落した力士が大関に復帰するのは簡単ではない。最近20年の大関陥落力士とその翌場所成績が下の表だ。

最近20年の大関陥落力士と翌場所成績

特例制度で大関復帰は8人のみ

関脇で10勝以上を挙げて1場所で大関に返り咲いたのは、2019年の貴景勝を含めてわずか3人しかいない。10勝以上で大関復帰する特例制度が始まった1969年7月場所以降でも、三重ノ海、 魁傑、貴ノ浪、武双山、 栃東、栃ノ心、貴景勝、照ノ富士の計8人だけだ。

その中で唯一、2度の大関復帰を果たしたのが栃東(現玉ノ井親方)。2004年に2度陥落する辛酸を嘗めながら、いずれも翌場所に2桁勝って大関に復帰している。

栃ノ心も2019年5月場所で10勝して返り咲いたが、結局再び2場所連続負け越しで陥落し、2023年に引退した時は十両まで落ちていた。

その後も高安、朝乃山、御嶽海、正代、そして今場所8勝で大関復帰を逃した霧島と、最近は大関陥落が多い。

大関昇進は3場所合計33勝が目安とされており、当然ながら昇進する際は相応の実力を評価されている。しかし、ケガで思うように実力を発揮できなくなるなど、陥落する時にもそれなりの理由がある。つまり、本来なら2桁勝てる実力はあるのに、関脇に落ちた翌場所では10勝以上できる状態にない場合がほとんどなのだ。

貴景勝も慢性的な首痛に苦しんでおり、厳しい状況にあることは間違いない。力士が引退間際になると必ず話題になるのが親方として協会に残るための年寄株だが、貴景勝はすでに取得済と一部で報道されている。

照ノ富士のように序二段まで陥落しながら復活する稀有な例もあるとはいえ、今後ケガの回復にメドが立たないようなら、そう遠くないうちに引退を決断する可能性もあるかもしれない。来場所は相撲人生をかけた場所となりそうだ。

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