名古屋場所で強かった輪島、日馬富士
いよいよ10日から大相撲名古屋場所が始まる。名古屋場所と言えば「暑い」が代名詞のように語られ、多くの観客がうちわを片手に観戦している姿がよく見られる。
その暑さゆえに体調管理が非常に難しい場所とも言われるが、力士の中には「暑い方が調子が上がる」という力士もいる。では実際に数字上で名古屋を得意としている力士、苦手としている力士を見ていこう。
昭和33年から本場所として毎年7月に開催されている名古屋場所は今年が64回目となる(令和2年は新型コロナウイルスの影響で東京開催)が、最も多く優勝したのは白鵬の8回だ。ただ、白鵬の通算優勝回数は45回。比率で言えば17.8%となるので、特段名古屋での優勝が多いわけではない。
優勝回数に対しての名古屋の割合が高いのは輪島や日馬富士。輪島は14回中4回、日馬富士は9回中3回が名古屋場所での優勝だ。一方、名古屋での優勝が少ないのが北の湖。24回中2回で名古屋では結果を残せなかったと言ってよいだろう。
ちなみに現役力士で名古屋での優勝経験があるのは御嶽海ただ1人だ。照ノ富士は令和2年7月の優勝者ではあるが東京開催だったため、名古屋での優勝経験はまだない。つまりは御嶽海以外が優勝すれば、名古屋初制覇となる。
名古屋の勝率高かった琴欧洲
次に名古屋場所での勝利数を見ていこう。関取として名古屋で唯一200勝を挙げたのが白鵬で205勝。以下、千代の富士165勝、魁皇158勝と続く。
この3力士は通算勝利数でも1000勝を越える力士でそもそも勝利数が多いが、名古屋のみで100勝を挙げた力士の中で最もその比率が高かったのが琴欧州。琴欧洲は489勝中101勝を名古屋で挙げており、その比率は20.7%になる。単純に6分の1なら16.7%になるので、かなり高い数値と言えるだろう。
名古屋を苦手にする貴景勝と正代
では現役力士を見てみよう。
現役で唯一、名古屋場所での優勝経験がある御嶽海は名古屋で55勝35敗(勝率.611)。通算で364勝246敗(同.597)なので平均よりは高い勝率を残しているが、特段名古屋で強いというわけでもない。
勝率の比較だけで言えば、照ノ富士が名古屋で43勝23敗(同.652)、通算で367勝217敗(同.628)でその差は.023となる。
通算成績と比較して名古屋で好結果を残しているのは上位陣ではこの2人くらい。特に貴景勝と正代の大関2人は名古屋を苦手にしている。貴景勝は名古屋で22勝26敗(同.458)と負け越しているどころか、名古屋場所で皆勤できたのは平成30年が最後だ。東京開催となった令和2年も8勝4敗3休と途中休場しており、7月との相性が悪いとも言える。
正代も35勝40敗(同.467)と負け越しており、これは特に角番で名古屋場所を迎える正代にとっては不吉なデータと言えるだろう。若隆景と大栄翔の両関脇も名古屋場所の通算成績は負け越しだ。
霧馬山、隆の勝、琴ノ若は名古屋と好相性
逆に平幕上位に名古屋を得意としている力士が多い。まだ名古屋場所での出場が少ないとはいえ、霧馬山は19勝11敗(同.633)、隆の勝は30勝15敗(同.667)、琴ノ若は20勝10敗(同.667)と好結果を収めている。これだけを見てみれば平幕上位の力士が上位陣を脅かしていく展開が見えてくる。
そして名古屋場所の特徴の一つは「名古屋場所だけで優勝した力士が多い」ということも挙げられる。年6場所制が定着してから現役力士を含めて優勝1回の力士が31人いるが、そのうちの8人が名古屋場所で優勝。これは1月場所の9人に次ぐ数字だ(1月場所の9人は9人中4人が現役力士)。
平幕優勝も昭和33年以降22例あるが、そのうちの5例が名古屋場所だ。東京開催となった令和2年7月も元大関ではあるが、平幕の照ノ富士が優勝している。
果たして、今年の名古屋場所を制するのは誰だろうか。照ノ富士の名古屋初制覇とともに伏兵の活躍も期待できる場所となりそうだ。
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