9年ぶり6度目の千秋楽全勝対決制す
大相撲名古屋場所千秋楽で横綱・白鵬が大関・照ノ富士を破り、全勝優勝を飾った。6場所連続休場のブランクを克服し、自身の最多記録を更新する45回目の賜杯となった。
ここ1年、休場続きでほとんど土俵に上がれず、ケガからの復帰を目指していた、もう一人の横綱・鶴竜は引退。進退をかけて臨んだ今場所は、綱取りに挑んだ照ノ富士とともに前日まで14個の白星を並べた。
迎えた千秋楽。長年、綱を張ってきた第一人者として、9年ぶり6度目の千秋楽全勝対決に負ける訳にはいかなった。
制限時間いっぱいになると、土俵上で両者が睨みあい、激しく火花が散る。時間をかけてようやく立ち合うと、力みすぎたのか互いの張り手が空を切るなど、闘志がぶつかり合った一番は、白鵬が左からの小手投げで照ノ富士を土俵に這わせた。勝った瞬間、大横綱が珍しく右拳を握りしめて喜びを表した。
かつて栃錦と若乃花、大鵬と柏戸、千代の富士と隆の里らが名勝負を繰り広げた千秋楽の全勝対決。白鵬は平成24年名古屋場所で日馬富士に敗れていたが、今回は見応え十分の大相撲を制した。
白鵬は勝率.8278で「大鵬超え」
史上最多45回目の優勝は、自身の最多記録を更新する16度目の全勝優勝。さらに通算勝利数を単独トップ独走の1187勝(247敗)とした上、この日の1勝で通算勝率も.8278とし、「昭和の大横綱」と呼ばれた大鵬の勝率.8273(872勝182敗)も上回った。
ケガの回復状況が心配され、場所が始まってからも不安視する声があったものの、徐々に相撲勘を取り戻して終わってみれば15戦全勝。「引退」の心配を吹き飛ばし、横綱の責任を十二分に果たした。
14日目の正代戦で徳俵付近まで下がる立ち合いを見せて批判されたが、勝利に貪欲な強い横綱の復活は歓迎すべきことのはず。来場所以降も君臨し、角界がさらに盛り上がることを期待したい。
照ノ富士は3場所計38勝で横綱昇進確実
敗れた照ノ富士も堂々の14勝で横綱昇進は確実だ。直近3場所で合計38勝を挙げており、最近の横綱昇進力士と比較しても、3場所合計41勝を挙げた貴乃花に次ぎ、朝青龍、白鵬、日馬富士と並ぶ好成績。横綱昇進に異論を挟む者はいないだろう。
23歳で大関昇進した照ノ富士は、ケガや糖尿病に悩まされ、一時は序二段まで番付を落としたが見事に復活。11月で30歳になるが、苦難を乗り越えた新横綱には、復活した白鵬とともに今後の角界を引っ張っていくことが期待される。
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