代表のW杯や欧州選手権のない年に実施か
毎年、7チームで争われているクラブワールドカップが、2021年の中国大会ではチーム数が24チームに拡大する。
グループリーグは1組3チームで行われ、全8組から1位チームが決勝トーナメントに進出するフォーマットだ。チーム数を増やしたことに伴い各国リーグ、地域への影響もかんがみて、中国大会以降は4年に1度の開催とすることも国際サッカー連盟(FIFA)理事会で決定された。
しかし、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は、ここにきて2年に1度の開催にすることを提案している。隔年開催する場合は、代表チームにより行われるワールドカップや欧州選手権、南米選手権といった各大陸の大会がない年の開催を視野に入れているという。
世界のクラブは前向きも、欧州クラブは否定的?
なぜFIFAのインファンティーノ会長は、2019年10月24日のFIFA理事会で決まったばかりの決定事項をひっくり返そうとするのだろうか。欧州クラブ協会(ECA)が、改編後のクラブW杯をボイコットする構えを見せていたため、一旦沈静化を図り、慎重に慎重に少しずつ、改革を進めるつもりなのかもしれない。
FIFAは「インファンティーノ会長とFIFAが、新たなクラブワールドカップを成功に導く方法を議論するために、世界中のサッカークラブと会った」としている。そして、レアル・マドリー会長のフロレンティーノ・ペレス氏率いる「世界サッカークラブ協会」(WFCA)は、隔年開催に前向きだという。
2016年に就任したインファンティーノFIFA会長の下で、FIFAはクラブサッカーへの影響や収益を高める方法を模索している。現在、クラブW杯は、6大陸の王者と開催国1クラブ、計7チームで争われるが、世界的には、あまり注目されていない。
新たな出場枠は、ヨーロッパが最大で8枠、南米が6枠、アフリカが3枠、北中米カリブ海が3枠、アジアが2.5枠、オセアニアが0.5枠、開催国が1枠だ。大陸間の力関係を考慮し、欧州クラブには、最も多い出場枠が用意されているが元々、あまり参加には前向きではなかった。
欧州サッカー連盟(UEFA)のアレクサンデル・チェフェリン会長は、大きな成功を収めている欧州チャンピオンズリーグや国内リーグといったUEFA内の大会を重視しているため、クラブW杯の拡大には慎重なのだろう。
稼ぎたいFIFA、欧州の地位を守りたいUEFA
元々、欧州と南米のチャンピオンチームが、ホーム&アウェーの2試合で世界一を決めるインターコンチネンタルカップという大会だったのだが、中立地である日本での一発勝負となり、スポンサー名を冠してトヨタカップと呼ばれるようになった。それを再び拡大し、現在に至っているが、注目度や興行面では他の国際大会と比較してあまり芳しくない。
そのため、チーム数や開催頻度を増やすことで、世界的な注目度を向上させて、スポンサー料や各国の放映権料収入でも稼ぎたい考えなのだろう。
FIFAはインファンティーノ会長が就任して以来、男子の2026年W杯出場チームを32から48に拡大。その後にチーム数拡大を2022年に前倒ししようと試みたが、開催国カタールのスタジアム数では追加される試合数に対応できず、周辺国と国交を断絶している状況では支援を取り付けるのも困難なことから、突っぱねられた経緯がある。
インファンティーノ会長は、最近では、女子W杯も現行の4年に1度から2年に1度にすることを提案している。参加チーム数は、2015年に16チームから24チームに増えた。この調子だと近い将来、32チーム、そして48チーへと、男子同様に拡大していくことが考えられる。
これらの動きは、FIFAのインファンティーノ会長の基本方針が「事業と収益の拡大」を目標に、大会の規模と頻度を増やしていくことであるとはっきり示している。