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公平性だけでなく選手の心情も考慮か Jリーグの「昇格あり、降格なし」は英断

2020 3/24 11:00SPAIA編集部
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「昇格あり、降格なし」

新型コロナウイルスの感染拡大を受け公式戦の開催が延期となっているJリーグ。18日に各クラブの担当者と臨時実行委員会を開き、今シーズンは特例として「昇格あり、降格なし」にすることを決定した。

「昇格あり、降格なし」については様々な期待や懸念があるだろう。

降格なしだと、リーグ戦終盤には消化試合が増えてしまい盛り上がりに欠けてしまう、という点については、確かにその可能性は十分ある。まだ現段階ではそこまで踏み込んで決める必要はないのではないか、という意見も十分理解できる。通常通りの形式が最善であるのはもちろんだ。

しかし今の状況では「全クラブの公平性が担保できない」こともまた確かだ。全チームの公平性を鑑みて、現時点で決断を下したことは、正しい判断だと言えるのではないだろうか。

公平性が担保できない

「全クラブの公平性が担保できない」とはどういうことか。具体的にはスケジュール面での問題が挙げられる。

3月22日時点ではJリーグはまず4月3日の第7節からの再開を目標にしているが、その場合延期になった6節分及びルヴァンカップの2節をどこかで消化する必要がある。

目標としているスケジュールで再開できれば、東京五輪の期間を使うことなく全日程を消化できると村井チェアマンはコメントしている。しかし、消化はできてもホームゲームとアウェイゲームが偏ってしまう可能性があるからだ。再開がさらに遅れることになれば、その可能性はさらに高まるだろう。

過去には、台風や大雨の影響で試合が延期になることもあったが、これだけ長期間全チームの試合が組めないとなると調整は難しくなる。最悪ホームスタジアムで開催出来ないケースすら考えられる。

また、今後、一部の地域でさらなる感染拡大が起こり、その地域では試合を行うことが出来たとしても無観客にせざるを得ないことも考えられるのである。

最も憂慮すべき事態は

公平性以外の面でも考えなければいけないことはある。

Jリーグでは選手および家族も含めたチーム関係者に「毎日検温すること、検温で37.5℃以上の場合は必ず報告し、37.5℃以上が2日間以上持続した場合はチームから離れる」というガイドラインを定めている。

試合直前に主力選手がこれに該当する状況が発生しチームを離れることはあるだろう。またそれが複数選手に及ぶことも考えられる。

最も憂慮すべき事態は、チーム内に感染者が出た場合である。選手や監督、コーチに感染者がでると、毎日共にトレーニングを行っているため選手、監督、コーチの全員が濃厚接触者となり、チーム全体が隔離されることとなる。

そうなった場合、試合は延期なのか中止なのか、それともU23チームの選手が戦うのかユースの選手を使うのか。そのような状況ではチームの昇降格に遠慮して選手が体調不良を報告しないことだって考えられる。

新型コロナウイルスについては感染予防策の徹底が重要だが、それでも感染のリスクをゼロにすることは出来ない。体調異常や感染に関して申告しやすくするための方策の一つとしても「昇格あり、降格なし」は有効だろう。

まだ先が見えず、選手もそしてサポーターにとってもやきもきした状況が続いているが、「昇格あり、降格なし」という特例ルールを適用して大会方式を変更する決断は英断だったのではないだろうか。

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