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J1鹿島、公式戦3戦全敗も価値ある内容 延期中に新スタイルの完成度を高められるか

2020 3/4 06:00中山亮
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立ち上がりにペースを掴んでいたのは鹿島

サッカーで零封の3点差となれば、完勝・完敗と評されるスコアである。J1開幕戦、広島対鹿島の一戦は3-0で広島が完勝した。開幕節を終え首位が広島。鹿島はクラブ史上初の単独最下位となり今季の公式戦3試合全敗となってしまった。

しかし、その内容は決して悪いものではなく、起こりうるべくして起こったと言える内容だ。特に開幕の広島戦は今季の鹿島が目指すスタイルと、その課題が顕著に表れた試合だった。

共に今季のテーマの1つに、前線からのプレッシング、を掲げるチーム同士の対戦となったこの広島戦。立ち上がりから激しいプレスの応酬となっていた。

そんな中、開始わずか2分にしてビッグチャンスを掴んだのが鹿島。右SHのファン・アラーノが背後に抜け出し決定機を迎える。しかしこのシュートはポストに当たり、さらにこぼれ球に詰めた和泉竜司のシュートもポスト。鹿島はビッグチャンスをものにすることは出来なかった。

しかし、この場面に象徴されるように序盤にプレスの応酬で優位に立っていたのは鹿島。広島は前線からプレスをかける際に守備的MFが相手の守備的MFを、WBが相手のSBを捕まえようと前に出てくるのだが、鹿島はそれを逆手に取った。SBや守備的MFが低い位置で起点となること広島の守備的MFやWBを引き出し、広島の陣形を間延びさせ、3バック周辺にスペースをつくることに成功していたのだ。

対する広島はサイドで蓋をしてくる鹿島のプレッシングに対して有効な手段は打てず。このままプレスを続けるのかどうか悩ましいところだっただろう。

失点につながった1度の大きなミス

鹿島ペースで試合が進んでいた前半20分。突如として広島が先制する。

守備的MFの三竿が低い位置でレアンドロ・ペレイラに捕まりボールロスト。レアンドロ・ペレイラからのパスを受けたドウグラス・ヴィエイラが落ち着いてゴールに流し込んだ。

それまでビルドアップの起点としてプレーしていた三竿だったが、この1度のミスで失点。これが試合の流れを決定づけた。

ここからリードを奪った広島は撤退守備に切り替える。プレッシングではあまり安定感がなかったこの試合の広島の守備だが、割り切って自陣に撤退して守る5-4-1の守備ブロックは昨季同様に安定感抜群だった。

鹿島は交代策やポジションチェンジなど、手を替え品を替え何とか得点を奪おうと奮闘するも、広島は強固な守備ブロックで最後まで得点を許さず、クリーンシートに成功。カウンターで2度の追加点を奪った広島が3-0と大差での勝利につながった。

鹿島は乗り越えることができるか

鹿島にとっては試合の立ち上がりは良かっただけに「もったいない試合」だった。ただ、こういう試合は十分ありえることだった。それは鹿島が一番良く知っているはずだ。

例えば昨季のホームC大阪戦。立ち上がりからC大阪に完全に試合を支配されたが、一瞬の隙を突いて先制すると結果的に2-0で勝利した。立場は逆だが今回の広島戦と同じパターンである。

そんな昨季までの戦い方に限界を感じていたからこそ、今季から新しい戦い方にチャレンジすることになったはず。

現在トライしている戦い方の3つのキーワード、「自陣からのボール保持」「縦に速い攻撃」「プレッシング」は身につけると大きな武器となる反面、その3つそれぞれがリスクも伴う。

そのためどうしても完成度が低い現時点では常にハイリスクを背負って戦う必要があるのだが、ここを乗り越えられなければ、目的とするスタイルを手にすることはできない。完成まで辛抱強く耐えしのぐことができるか。

また、思わぬACLプレーオフ敗退の影響で、リーグ戦・国内カップ戦だけを戦うにはオーバースペックになっているという編成面での不安も抱えているだけに、より繊細なチームマネジメントも求められる。

幸運といってしまっては語弊があるが、新型コロナウイルスの影響でJリーグ全公式戦が延期されたことで、若干の時間の猶予ができた。再開までの期間で巻き返しを図れる態勢を整えたい。

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