発足以来31クラブ目のJ1クラブとなるV・ファーレン長崎
2018年にクラブ史上初のJ1に挑むV・ファーレン長崎。リーグ発足以来31クラブ目、九州勢としては4クラブ目のJ1クラブとなる。
そんなV・ファーレン長崎にとって2018年最大の目標となるのは、もちろんJ1残留だろうが、これまでのJリーグの歴史をみると、これは決して簡単な目標とは言えず、クラブ史上最も厳しいミッションとなるだろう。
J2とJ1には、とても大きな差がある。それが現実なのだ。
2018年にクラブ史上初のJ1に挑むV・ファーレン長崎。リーグ発足以来31クラブ目、九州勢としては4クラブ目のJ1クラブとなる。
そんなV・ファーレン長崎にとって2018年最大の目標となるのは、もちろんJ1残留だろうが、これまでのJリーグの歴史をみると、これは決して簡単な目標とは言えず、クラブ史上最も厳しいミッションとなるだろう。
J2とJ1には、とても大きな差がある。それが現実なのだ。
2011年に柏レイソルがリーグ制覇したことを皮切りに、2014年にはガンバ大阪がヤマザキナビスコカップ(当時)、天皇杯、リーグ戦を制し3冠達成。さらに2017年にはセレッソ大阪がルヴァンカップと天皇杯を制し2冠達成と、J1昇格初年度にしてタイトルを獲得するクラブが見られるようになったが、この3クラブに共通しているのは、昇格以前にもJ1での実績が豊富であったことだ。
2010年から2016年までJ1昇格クラブ延べ21クラブ中9クラブが翌シーズンに降格しているのだが、この9クラブに中8クラブは、連続3シーズン以上J2で戦った後に昇格したクラブである。
2010年以降、J1初挑戦で残留に成功したのは2012年のサガン鳥栖1クラブのみしかない。J1初挑戦のV・ファーレン長崎にとってJ1残留がいかに厳しいミッションであるかがわかるだろう。
2010年から2017年のJ1残留争いにおける勝ち点をチェックすると、残留圏となる15位の平均勝ち点は35.5。降格圏となる16位の勝ち点は32.25である。
2018年シーズンからJ1の16位チームと、J2の3位から6位でのプレーオフ勝者の間で入れ替え戦が行われることとなったため、J1の16位チームにも残留の可能性が残されることとなったが、残留が自動的に確定する15位以内に入るためには、目安として勝ち点34が必要だといえるだろう。
J1は年間34節で開催されるため、1試合平均1。つまり最低でも全試合引き分けが必要であり、1敗すると1勝が必要となる。
守ることはもちろん大切だ。だが、それだけでなく勝つことができるチーム、得点を奪えるチームでないとJ1残留を果たすことは出来ない。
J3降格が始まった2015年以降、J2残留が確定となるJ2 20位チームの平均勝ち点が42試合で41.33、1試合平均1以下となっていることとくらべても、J1残留の厳しさがわかるだろう。
このJ1残留という厳しいミッションを達成するために、昇格の立役者の1人である、髙田明社長も資金的なバックアップを約束している。
高木琢也監督をはじめ前年度のチームをベースをしながらも、地元長崎出身の徳永悠平選手をFC東京から、中村北斗選手をアビスパ福岡から獲得。決して派手さは無いがJリーグでも有数の実力者がチームに加わることとなる。
補強はこれだけにとどまらず、ヴァンフォーレ甲府からかつてV・ファーレン長崎でもプレーした黒木聖仁選手、アルビレックス新潟からはリオ・デ・ジャネイロオリンピックでゴールも決めた鈴木武蔵選手、元オーストラリア代表でブラジルワールドカップでは背番号10番をつけたベン・ハロラン選手も獲得した。
いずれの選手もアグレッシブなチームスタイルにフィットしそうな選手ばかりだ。
新加入の選手は、かつてのV・ファーレン長崎から考えると特筆すべき大型補強といえるが、戦うのは代表選手がずらりと揃うJ1である。単純な戦力面だけを考えると決して十分ではないだろう。
しかしクラブが補強したのは選手だけではない。
高木監督をサポートするコーチとして、2017年はギラヴァンツ北九州で監督を務めた原田武男氏、松本山雅FCでコーチを務めた貝崎佳祐氏が加入し、育成部門には、日本サッカー界ゾーンディフェンスの第一人者として知られる松田浩氏が加入。
クラブの総合力を高める形の「補強」を行っているのだ。原田氏は国見高校で高木監督の4年後輩であり、松田氏は長崎県出身と、まさに長崎県を代表するチームとなっている。
V・ファーレン長崎のJ1残留は決して簡単なことではないが、楽しみなシーズンであることは間違いない。