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サッカー元日本代表MF小野伸二の引退と「黄金世代」の今

2023 12/9 07:00田村崇仁
小野伸二,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

「天才」と呼ばれた「黄金世代」の筆頭格

サッカー元日本代表でワールドカップ(W杯)に1998年フランス大会から3大会連続出場したJ1札幌のMF小野伸二が44歳で引退した。

12月3日、本拠地の札幌ドームで現役最後の試合となった相手は、静岡・清水商高(現清水桜が丘高)を経て自身がプロデビューした古巣の浦和。22分間という限られた時間だったが、10代から「天才」の名をほしいままにした柔らかで自在なワンタッチパスや高精度のサッカーセンスをピッチ上で最後まで見せつけ、3万人以上が集まった会場からサポーターの拍手に包まれて笑顔で去るシーンは小野らしさにあふれていた。

日本が初出場した1998年W杯で今も日本の最年少記録となる18歳でピッチに立つと、ジャマイカ戦でいきなり相手の股を抜く奇想天外なプレーで度肝を抜いた。

翌1999年の世界ユース選手権(現U―20W杯)ではトルシエ監督の下で「黄金世代」の筆頭格として準優勝に貢献。この世代は稲本潤一、遠藤保仁、小笠原満男、高原直泰ら将来の日本代表を背負う好選手ぞろいだったが、周囲も一様に漫画キャプテン翼の「ボールは友達」を地で行く小野の天才ぶりを素直に認めていた姿が印象深い。

移籍したフェイエノールト(オランダ)では2001~2002年シーズンに日本人で初めて欧州連盟カップ(現欧州リーグ)を制した。試合後の小野の引退セレモニーで、動画メッセージで登場した元オランダ代表のチームメート、ファンペルシーもその才能に惚れ込んでいた1人である。

高原直泰はコーヒー農園経営、遠藤保仁は現役

小野と一時代を築いた「黄金世代」の戦友は今、どうしているのか―。

日本フットボールリーグ(JFL)の沖縄SVで監督兼選手を務めてきた元日本代表FW高原直泰は今季限りで引退。小野とは同じ静岡でユース年代から「シンジ」「タカ」の間柄でしのぎを削ってきた関係でもある。

近年はサッカーだけでなく沖縄でコーヒー農園も経営し、ユニークな地域活動でも幅を広げている。静岡・清水東高から1998年に磐田に入団し、2002年に磐田のJ1年間優勝に貢献、最優秀選手賞と得点王に輝いた。ドイツでも活躍した名ストライカーだった。

Jリーグが1993年の開幕から30周年を迎えた5月15日、672試合のJ1最多出場記録を持つMF遠藤保仁(磐田)は最優秀選手(MVP)に選出されている。今季はJ2で出場機会も減っているが、チームは来季J1昇格を決めた。遠藤もユース時代から「シンジは特別な才能」と小野への憧憬を認めつつ、切磋琢磨してきた。

稲本潤一は南葛SCで選手兼コーチに

サッカー関東1部リーグ南葛SC所属の元日本代表MF稲本潤一は、来季から選手とコーチ兼任でJFL昇格を目指す。

南葛SCは「キャプテン翼」の原作者、高橋陽一氏がオーナーを務めており、来季は風間八宏氏が監督を務める。

かつて稲本は小野とジーコ監督時代に日本代表で「黄金のカルテット」を組んだ。スパイクを脱ぐ決断をする仲間が増える一方、まだまだ現役にこだわる。

小笠原満男は育成、中田浩二は経営に参画

J1鹿島で活躍した元日本代表の本山雅志の引退試合が11月19日に行われ、同い年の小野伸二や鹿島OBのジーコ氏らが顔をそろえた。今後はクラブで育成年代のスカウト担当に就任する。

鹿島ではJ1で3連覇の立役者になった元日本代表MF小笠原満男が2018年限りで引退し、クラブ育成部門の実技や指導をサポート。中田浩二は鹿島のクラブ・リレーションズ・オフィサー(C.R.O)に就任し、サッカー事業に比重を置いてクラブの経営面に注力している。

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