ホームで名古屋グランパス戦
J1リーグもいよいよ大詰め。初優勝を狙うヴィッセル神戸は25日、ホーム・ノエビアスタジアム神戸で名古屋グランパス戦に臨む。
前日24日に勝ち点2差で2位だった横浜F・マリノスがアルビレックス新潟と引き分けたため、首位をキープ。神戸は名古屋に勝てば勝ち点68となり、優勝が決まる大一番となった。
24日の前日練習を終えて会見した吉田孝行監督は「久しぶりにノエスタでできるので楽しみたいなと。勝ち点3を取って終わりたいなと思います」とホーム最終戦に意気込む。「チーム状態は良いと思うし、雰囲気も取り組む姿勢も良い。自分たちの試合に集中するだけ」と気を引き締めた。
前回の名古屋戦は5月3日の豊田スタジアム。大迫勇也のゴールで先制した神戸が一時は2点をリードしたが、73分にキャスパー・ユンカー、試合終了直前に藤井陽也のゴールを許して痛恨のドローだった。
吉田監督が「名古屋のDFは堅いし、先制点はひとつのカギになる」と話すと、日本代表として出場したワールドカップアジア2次予選からチームに戻ったばかりのGK前川黛也も「白黒つけたい」と勝利への執念をにじませる。DF酒井高徳も「どんなスコアで勝っていたとして最後まで集中力を切らさないで戦う」と自らを戒めた。
戦線離脱した齊藤未月の分まで…
会見中、吉田監督が少し表情を緩めたのがMF齊藤未月の話題になった時だった。8月19日の柏レイソル戦のプレー中に大ケガを負い、全治1年と診断。チームが優勝を争う真っ只中で無念の戦線離脱を余儀なくされた。
「アウエーで遠征に行く時に未月が見送りに来てくれたり、顔を見ると未月の分も頑張ろうと思う。そういういところも未月の素晴らしさ」。普段から厳しい表情を崩さない指揮官がこの時ばかりは胸に去来するものがあったようだ。
また、前日23日に大阪と神戸で行われたプロ野球の阪神とオリックスの優勝パレードにも刺激を受けた。同じ関西のチームとして、ホームタウンでファンの大声援を受けた両チームに続きたい思いが強まった。
指揮官は「阪神とオリックスは関西の方たちに希望や勇気を与えてくれた。自分たちもそういう存在でいたいし、神戸から関西を盛り上げていければと思う」と優勝への強い決意を口にする。
ドイツでの経験を還元してきた酒井高徳
優勝への思いは酒井も同じだ。「パレードしたことがないんで、どういう感情か分からないけど、みんなが全力を出し切って大きなものを勝ち取った際は有意義なものになる。神戸を優勝させるという思いを持ってやってきた。それがあと一歩まで来ている」とハンブルガーSVから2019年8月に神戸入りした当時を回想した。
8年プレーしたドイツから神戸に移籍して4年半。酒井はドイツで学んだ、戦う姿勢を常に見せてきた。「ドイツで一番勉強になったのは一喜一憂しないこと。自分たちが何をすべきかを突き詰めてるチームが強い。だからブレない。勝ったから、負けたからではなく、やるべきことを続けることが大切。海外で経験したことをチームに還元できてるのかなと思う」と4年半を振り返った。
2019年度に天皇杯制覇。2021年にリーグ戦3位と着実に階段を上ってきたヴィッセル神戸。1995年1月17日にいきなり阪神・淡路大震災に見舞われる波乱の船出を切ったクラブが、長い航海の末ようやく栄光のゴールに辿り着こうとしている。
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