神戸がロティーナ監督を解任、今季4人目の吉田孝行新監督就任
J1ヴィッセル神戸は6月29日にミゲル・アンヘル・ロティーナ監督との契約解除、ならびに強化部に在籍していた吉田孝行氏の監督就任を発表した。
これで今季の監督は三浦淳寛氏、暫定監督を務めたリュイス氏、ロティーナ氏、そして吉田孝行氏と4人を数える。
結果が出ない監督は交代を強いられる。サッカー界の常であり、ロティーナ体制では2勝1分6敗と結果が出ていなかったことは事実。それでも契約解除には、多くの批判の声が挙がった。ロティーナ氏のサッカーが守備的であること、戦術の浸透に時間がかかることは、Jリーグを観ている者には周知の事実だったからだ。
「場当たり的」。ヴィッセル神戸に関して常々感じてきたことだ。「バルサ化」を目指してイニエスタらバルセロナでプレーした選手を獲得し、点が取れないから実績のあるFWを獲得する。その結果守備が不安定となり、守備構築に優れた監督を連れてくる。その結果攻撃が低調になり、再び監督をすげ替える。
攻守が即座に入れ替わり一体となっているサッカーにおいて、片方を意識すればもう一方がおろそかになることはサポーターでもわかっているはず。それでもクラブは、最善の解決策だと信じ続けているように見える。
ここまで18試合で2勝に留まる神戸は批判の声をはねのけ、残留圏の15位ジュビロ磐田と勝ち点差8を詰めて大逆転での残留を達成できるのだろうか。
シーズン途中で監督交代した回数ランキング
今季のJ1リーグでは、ヴィッセル神戸の他に清水エスパルスもシーズン中の監督交代を敢行。毎年問題を抱える数クラブが行っているが、Jリーグに参戦して以降のクラブの歴史でシーズン途中の監督交代が多いクラブはどこだろうか。
またそれらのクラブの現在の成績はどうなっているのだろうか。Jリーグに参入してからの年数が多いクラブほど上位に入りやすい条件ではあるが、上位10クラブをまとめた。
1位はヴィッセル神戸で18回。後述するが2位以下が僅差のなか、群を抜いて多い数字といえるだろう。
2位タイは14回の京都サンガF.C.と東京ヴェルディ。東京ヴェルディは今季も堀孝史氏から城福浩氏への交代が行われている。
4位は13回のセレッソ大阪。5位は11回のジュビロ磐田。6位タイは10回の名古屋グランパスと大宮アルディージャ。大宮アルディージャは今季も霜田正浩氏から相馬直樹氏への交代が行われている。
8位タイは9回の清水エスパルス、ジェフユナイテッド千葉、横浜FCの3チーム。清水は今季も平岡宏章氏からゼ・リカルド氏へ交代している。
交代するから結果が出ないのか、結果が出ないから交代するのか
監督を交代するからには理由があり、クラブには言い分がある。さまざまな理由が存在するが、要約するとほとんどの場合「期待した成績を下回っている」というもの。つまり、結果が出ないから交代する、ということだ。
だが上記のランキングに名を連ねているクラブの現状を見ると、結果を出すために交代を繰り返したはずが、そのほとんどが順調とはいえない。東京ヴェルディ、大宮アルディージャ、ジェフユナイテッド千葉、横浜FCの4クラブはJ2に所属しており、ヴィッセル神戸、京都サンガF.C.、ジュビロ磐田、清水エスパルスは残留争いに巻き込まれている。
あくまで今季の成績とはいえ、ランクインしたクラブで長期にわたって成功を収めたのはごくごく一部だ。他方で横浜F・マリノス、サンフレッチェ広島、鹿島アントラーズ、川崎フロンターレなどは、大成功を収めた期間以外でも監督交代が少ない。どちらが安定した成績を残しているかを見ると、サッカーには「積み重ね」が重要だと思えてならない。
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