23日に三木谷会長自ら異例の激励
J1最下位に低迷するヴィッセル神戸はジュビロ磐田戦(ノエビアスタジアム神戸)を控えた24日、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(64)とMF山口蛍(31)、MF井上潮音(24)がオンライン会見に出席した。
前日23日に三木谷浩史会長(57)がクラブハウスを異例の訪問。時折、言葉を詰まらせながら「ウクライナではたくさんの人が死んでいてスポーツもできない。ロシアの選手もいろんな大会に出られない。コロナ感染もあって世界が大変な中、自分も少しでも世界を良くしようと事業を頑張っている。中途半端にこのクラブに関わっていることが正直マイナスなのかなと思っていたんですが、『一期一会』という言葉があります。一つのこと、一つの機会、一つの出会いを大切にできない人は大きなことも成し遂げられないと思います。ファンの方からいろんな言葉をいただいて、もう1回一生懸命やろうと思いました。時間はないですが、その思いで来ました」と胸中を吐露した。
さらに「次の一戦に全てをかけるという思いでやってほしいと思います。ケガもあるし、忸怩たる思いもあるし、どうしようもないこともあると思いますが、それでも1センチ、10センチ、一歩、その気迫の差だと思う。覚悟と気迫を持って頑張りましょう」と激励。静かな口調ながら熱い思いを込め、選手たちを鼓舞した。
副主将の山口は「あれだけの人がここまでしなくちゃいけないということに一人一人が責任感を持たなくてはいけない」と危機感をにじませ、「激励のおかげでチームが引き締まった」と前向きに捉えた。
「去年は試合前のロッカールームでいい緊張感があった」
神戸は優勝候補の一角に挙げる声もあったが、開幕から7試合で4分け3敗と1勝もできなかったため3月20日付で三浦淳寛監督を解任。ヤングプレイヤーデベロップメントコーチのリュイス氏が暫定的に指揮を執り、ロティーナ新監督が就任した。
5月14日のサガン鳥栖戦で4-0と快勝し、ようやく今季初白星を挙げたが、その後は2連敗。1勝4分け9敗で勝ち点7、17位の湘南ベルマーレにも勝ち点3差をつけられて最下位に低迷している。
山口は「(リーグ戦3位だった)去年は試合前のロッカールームでいい緊張感があった。そういうところから取り戻していかないといけないと思います」とチーム内の雰囲気を懸念。「4-0で初勝利したのは良かったし、流れを変えるきっかけになったけど、その1試合で終わったこと。次の日から切り替えていかないといけないのに満足してしまったのが多少あったと思います」と指摘した。
すでに14試合を消化しており、リーグ戦は残り20試合。まずは降格圏を脱出する必要がある。ロティーナ監督は「この状況から抜け出したいとみんなが感じている。メンタル面は問題ない」と強調。井上も「一丸となって勝利を目指すだけ。明日の試合は勝ちという結果以外考えられないと思います」と気合を込めた。
自ら足を運んだ三木谷会長の思いは届くか。キックオフの笛は19時に鳴る。
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