日本代表の閉塞感を打破する選手は?
長年、日本代表はセンターバックとストライカー、つまりはチームの勝負強さを大きく左右するポジションの質が不足していると言われてきた。そのうちの前者、センターバックは吉田麻也に加えて、冨安健洋や板倉滉、伊藤洋輝、さらに先日VfBシュツットガルト(ドイツ)への移籍が決まったばかりのチェイス・アンリら欧州でプレーする選手が増えている。
一方でストライカーは、優れた選手はいるものの近年の閉塞感を打破するほどの存在は登場していない。だが今回紹介する若手3選手は、いずれも今後そういった存在になる可能性を感じさせてくれる。
攻守ともに多大な貢献をみせる柏レイソル・細谷真大
柏レイソルの下部組織で育ったストライカー、細谷真大。レイソルでは今季のリーグ戦9試合全てにスタメン出場し、3得点。今回紹介した3人の中で最も多くの出場機会を手にしている。
さらに初陣となった、大岩剛監督率いるU-21日本代表にも選出され、ドバイカップU-23では第3戦のサウジアラビア戦で決勝ゴールを奪い、優勝に大きく貢献した。
特徴は敵陣に向かって直線的に仕掛けていくドリブルと積極性。さらには豊富な運動量をいかした守備の献身性もあり、チームを助けている。その姿勢が相手に伝わるからこそディフェンダーを引き寄せ、周囲を使ったりプレスをかけにきた相手を逆手にとって1タッチ目で外すことに繋がっている。
リーグ戦の得点数はすでに昨年に並んでおり、自己最多を記録することは間違いないだろう。ネルシーニョ監督からの評価も高い20歳は、好調なチームで不動の存在になりつつある。
積極性を掴んだ万能型ストライカー、セレッソ大阪・山田寛人
セレッソ大阪U-18から、2018年にトップチームへと昇格。J3リーグに参戦していたセレッソ大阪U-23、期限付き移籍先のFC琉球やベガルタ仙台で経験を積んだ山田寛人が、今季一皮むけようとしている。
今季ここまでのハイライトは、第6節の川崎フロンターレ戦。3連覇を目指す王者を相手に、独力で奪ったものも含む2得点1アシストを記録。ピッチ上の22人で最も輝いてみせた。
武器はシュート精度の高さ。枠外に外れることも少なくはないが、どのような形であれ冷静にゴールの隅を狙って打っており、ゴールキーパーの正面に向かうことは少ない。
クロスに対しても動きながら受けようとする意識が高く、ドリブルやスピードも水準以上のものを持つため相手はボールに絡ませないようにすることが難しいだろう。
今季のリーグ戦ではここまで6試合にスタメン出場、1試合に途中出場して3得点。ルヴァン杯でも1得点を挙げている。積極性を身に付けたことでシュート数が増えており、自然と今後も得点が増えていくのではないだろうか。
高さとアグレッシブさをあわせ持つ大器、北海道コンサドーレ札幌・中島大嘉
優等生のような選手が増えているなかで、近年珍しいタイプだ。
北海道コンサドーレ札幌の19歳、中島大嘉を見ていると、この競技を愛してやまないサッカー小僧を、そのまま大きくしたかのような感覚を抱く。
第6節、浦和レッズ戦での迫力満点の爆走がさまざまな場所で話題となり、ノルウェー代表FWにプレーぶりが似ていることから和製ハーランドとも呼ばれたが、本人は和製○○という呼び方ではなく、自分自身の名前が付いた呼び方を希望。入団時にも「札幌で得点王になって、3年以内に海外に行きたい」と明言するなど、歯切れの良いコメントでストライカーとはかくあるべきと思わせてくれる。
1年目の昨季は天皇杯で3得点、ルヴァン杯で1得点と主力にはなれなかったが、着実に力を蓄積。今季はルヴァン杯の柏レイソル戦で途中出場から2得点を挙げ結果を残すと、リーグ戦でも第3節のアビスパ福岡戦を皮切りに6試合で途中出場。リーグ戦では2得点、ルヴァン杯ではトップタイの4得点と大きな活躍を見せている。
前線からの積極的な守備で流れを変え、さらに短い時間で結果を出すスーパーサブとなっているが、本人はもちろんスタメン出場を目指しており満足はしていない。
エース候補だった興梠慎三が負傷で数か月離脱する見込みであり、誰よりも貪欲な19歳にかかる期待は大きい。日本人のフォワードで、空中戦の強さと速さを兼ね備えた選手は非常に珍しい。188cmの長身とスピード、そしてサポーターを魅了する戦う姿勢を持つ中島には、日本人FWの新たな可能性を示すことを期待したい。
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