「ミスターエスパルス」がユース監督就任
「厳寒の候」という言葉の通りの厳しい寒さが続いているが、Jリーグ各クラブは来るべき新シーズンに向け、既に動き出している。
14位と下位に低迷した昨季からの巻き返しを図る清水は新たに、OBで「ミスターエスパルス」としてファンからの人気も高い澤登正朗氏をユースチームの監督として起用することを発表した。主将としてクラブに初タイトルをもたらしたレジェンドの入閣は今シーズンにかけるチームの本気度の表れだ。
多くのファンが承知のように、かつて隆盛を誇ったエスパルスが「下位グループ」に組み込まれて久しい。特にここ数シーズンは残留争いに足を踏み入れており、19、20シーズンは20チーム中失点数がワーストと、完全に守備が崩壊。ディフェンスのテコ入れは急務だが、チームとしての形をなしていない今の彼らには抜本的な改革が必要だろう。
低迷脱出へ「金の卵」育成
低迷期に「下の世代からの突き上げ」は起爆剤になりうる。元々、清水は若年層の大会で結果を出してきた。高円宮杯U15では2016年に優勝、17年にも3位と好成績を収めている。
タレントがいないわけではないが、トップチームまでの過程で成長し切れず、人材が枯渇してしまうことが近年の苦しい台所事情の大きな要因ではないか。
澤登監督はトップチームを指揮するわけではないものの、今やユースチームの選手がそのままトップの主力へと成長していくのは珍しい話ではなくなった。
いかに金の卵を育てトップチームに送り込むか。それはこのクラブの何たるかを知る男に課せられた大きな責務であり、平岡宏章監督がどうチームに組み込んでいくか、現役時代に共闘した2人の以心伝心に今から期待が止まらない。
ライバル・磐田がJ1復帰
さらに偶然か、今シーズンはかつてリーグの覇権を争ったローカルライバル・磐田がJ1復帰する。
99年、世紀末の静岡決戦チャンピオンシップは今でも語り草となっているが、以来両チームが「サッカー王国」と言えるほどの結果を出したのは、わずかな時だけであった。
再び強さを取り戻すために、英雄が帰還した今季、静岡からJを席巻する潮流が巻き起こるかもしれない。
【関連記事】
・「Jで最も貪欲な集団」京都サンガが12季ぶりJ1で期待できる理由
・逆襲期すJ1セレッソ大阪の補強から垣間見えるフロントの思惑
・「奇跡のクラブ」J3降格…松本山雅の根深い闇と2つのターニングポイント