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ブラジル式から可変式までJ1のフォーメーション一覧、サガン鳥栖は2バック!?

2021 3/31 06:00小林智明
豊田陽平Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

4バックが3バックを凌駕。4-4-2が一番人気

今季J1リーグではどのシステムを採用しているクラブが多いのか?素朴な疑問に答えるために、直近リーグ戦6節(ガンバ大阪は1節、横浜FMは5節)をベースに、全20チームをシステムごとに振り分けてみた。また、序盤戦4勝2分で台風の目になっている3位・サガン鳥栖の可変式システムも解剖する。

2021年J1のフォーメーション・ランキング


まず大局を見ると、4バックが15チームで、3バックの5チームを数で圧倒した。続いて、4バックのチームをシステムごとに細分化。すると、比較的オーソドックスなシステム、4-4-2を実践するクラブが最多の6チーム揃った。

この中で現在の最上位は、4位のセレッソ大阪。かつてC大阪で3度指揮を執ったブラジル人のレビー・クルピが、今季より監督就任。「ブラジル型」とも呼ばれる王国伝統のフォーメーションが、開幕からすぐに馴染んだ。

Jリーグ黎明期よりブラジル色の強い鹿島も同システムを踏襲。しかし今季は2トップの一角、上田綺世が負傷した誤算もあり、15位に低迷中…。その上田は27日のルヴァンカップ・アビスパ福岡戦で2得点を挙げて復活。今後の巻き返しを図る。

続いて多いシステムは、6連勝中で失点1と絶好調の名古屋グランパスをはじめ、5チームが取り組む4-2-3-1。FWに1人しか置かない影響もあるのだろうか、通算ゴール数は徳島ヴォルティス5点、横浜FC4点、柏レイソルと浦和レッズが3点とどこも得点力が乏しい。名古屋の計9得点さえ、得点ランクでは北海道コンサドーレ札幌と並ぶ8位に留まる。

4-3-3は王者・川崎フロンターレを筆頭に、4つの強豪が採用。細部をよく見ると、横浜FMの中盤の構成のみダブルボランチを据え、トップ下を置くトライアングル型になっている。対して逆三角形型のフロンターレは新加入のジョアン・シミッチ、FC東京はセンターバックよりコンバートした森重真人がそれぞれ新アンカーを務め、練度を上げている段階だ。

コンサドーレ札幌、湘南ベルマーレ…アグレッシブな印象が強い3バック

3バックでは、1トップ・2シャドーを置くのが特徴の3-4-2-1を3チームが敷く。ただし、18位と出遅れているベガルタ仙台は、まだシステムを模索中の模様。4バックで挑んだ3節サガン鳥栖戦に0-5で大敗、それを受けて4節・湘南ベルマーレ戦、6節FC東京戦(5節のガンバ戦は中止)では、3-4-2-1を試みる。5バックにシフトしながら守りを固めたが、結局4節1-3、6節1-2と連敗は止まらず…。再度システムの見直しがあるかもしれない。

コンサドーレとトリニータは昨年より引き続き、前線から強度の高いプレスを仕掛け、自らアクションを起こす3バックを形成。前者は6節のヴィッセル戦では、0-3から4点を奪われる大逆転負けを喫するなど、3月のリーグ戦成績は3敗1分。積極的なあまり後半に息切れしてしまうなどの課題は少なくない。

昨季の主力が大量流出したトリニータは、就任6年目を迎えた知将・片野坂知宏監督が、上手くやりくりしている印象。CBまでが躊躇なく参加する攻撃は見応えがある。124.7kmで現在リーグ1位のチーム平均走行距離も、戦力不足を補う土台と言える。

唯一3-5-2の湘南ベルマーレも、後ろに重心を置かず、敵陣になるべく圧力をかけるのが流儀。しかしダブルボランチを敷かずにアンカー1人のため、数的に守備リスクが高まる。加えて、2トップの決定力不足も重なり、勝点が伸びていない。

試合中に2バックへ変身!「非対称な可変システム」のサガン鳥栖

そして6節で、1996年の横浜フリューゲルス以来のJリーグ記録、6試合連続無失点に並んだサガン。とはいえ、今季より採用する3-1-4-2は、決して守備的なシステムではない。むしろ逆で、主導権を握ってプレーすることを突き詰めた“カメレオン布陣”である。

肝となるのは、U-24日本代表に飛び級で選出された17歳・中野伸哉。チームでは左CBを務めているが、ビルドアップ時には左ウイングバックの位置に張り出し、オフェンシブMFの数は「4」→「5」へ。横幅を取ってサイドを起点としたパスワークで敵に圧をかけて、主導権を握り続ける。セントラルMFの仙頭哲矢や樋口雄太の立ち位置も絶妙。並列にならず、上手く“段差”をつけてアタッキングサードへ入るため、セカンドボール回収率が高い。

相手チームは、ボールを奪ったとしてもサガンに押し込まれた分、前へ向かう労力がかかる。そこで1、2列目を合わせて最大7人となる前線の選手が、幅を取ってローラー式に相手に襲い掛かるので、高い位置でボールを即時奪回できるのだ。

これはまさに「攻撃は最大の防御」。攻撃時には中野を前へ送り出すため、最終ラインは2バックで守ることになり、一発で裏を取られるリスクがある。そこは走行距離チーム平均ランキング2位の124.5kmの走力でカバーする。

GK朴一圭も3節ベガルタ戦で、J新記録の総走行距離8.186kmをマークするなど、DF背後への“水漏れ”を迅速に察知し、走って防ぐ。さらに朴はPA内&外のシュートセーブ率、PA外シュートキャッチ率はすべて100%。これらの要素が重なり、サガンは歴史的な無失点ロードを歩んでいる。

まだ序盤戦、4バック勢が謳歌するなか、前衛的な3バックに挑戦するサガンの快進撃がこの先も続くのか。それともシステムの化かし合いで、サガンを上回るチームが現れるのだろうか。再開後のJ1も興趣が尽きない。

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