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【ロシアW杯 代表争いウォッチ】「吉田麻也選手の隣」を争う槙野智章選手と昌子源選手

2018 3/29 16:16Aki
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Ⓒゲッティイメージズ

槙野選手と昌子選手

FIFAワールドカップロシア大会に向けて調整を進める日本代表。軸となる選手も見えてきたが、多くのポジションは現段階でも流動的だ。そんなポジションの1つ、センターバックの軸となるのがプレミアリーグ出場を重ねる吉田麻也選手。その隣のポジションを浦和レッズ槙野智章選手と鹿島アントラーズ昌子源選手が争っている。

ハリルホジッチ監督が育てた「ディフェンダー」槙野智章選手

独特のスタイルを持つペトロヴィッチ監督(現北海道コンサドーレ札幌監督)の攻撃的サッカーを象徴する存在として、ディフェンダーでありながらもJ1リーグ戦で38得点を記録している槙野智章選手(2018年3月21日現在)。

抜群の身体能力を活かした攻撃的スタイルで、自らを「DFW(DF+FW)」と称していたこともあった。一方で純粋なディフェンダーとしては、雑なプレーやミスの多さなどネガティブな評価も少なくなかったのだ。攻撃面では「思い切りの良さ」につながっていた部分が、守備面では「雑」になる。その結果、日本代表には選ばれるもののポジションをつかめなかった。

そんな槙野選手と正面から向き合ったのがハリルホジッチ監督だ。ディフェンスラインを高くし、相手にプレッシングをかけることが求められる現代サッカー。センターバックには、スピードなど身体能力の高さが必要となる。その可能性を槙野選手に感じたのだろう。

代表合宿では、基本的なポジショニングから徹底して指導した。日本代表スタッフから槙野選手のもとに、プレーの分析映像集が定期的に送られてくるほど徹底してディフェンスの改善を求めたのだ。

その熱意を、槙野選手もきっちりと受け止めた。かつては自らを「DFW」と称していた槙野選手だが、今では「恥ずかしながら、得点を取る喜びよりも、(失点を)ゼロに抑える喜び、相手のキーマンを抑える喜びを感じている」と語る。

自らカラを破り「デュエルで戦う」昌子源選手

ハリルホジッチ監督就任直後の2015年3月から常に招集されていた昌子源(しょうじ・げん)選手。これまでU‐17W杯はおろか、年代別代表では一度も公式戦でプレーした経験がない。同じプラチナ世代にあたる宇佐美貴史選手や柴崎岳選手に比べると注目度が高いとはいえず、招集されるものの出場機会は少なかった。

昌子選手が大きな成長を見せたのは2016年。これまではフィジカルに自信があるとしながらも、あくまでカバーリングタイプのセンターバックだと自己判断していた。しかし、日本代表招集中に行われた面談でハリルホジッチ監督から、もっとデュエルで戦うことができるはずだと激を飛ばされた事が影響したのだろう。

この年、それまでの特徴であったカバーリング能力に加えて、1対1でボールを奪う技術を身につけたことでタックル数が倍増。インターセプト数も前年より飛躍的に増え、名実共にJリーグナンバーワンのセンターバックへ成長を遂げる。

その姿を強く印象づけたのが、2016年12月のFIFAクラブワールドカップ。クリスティアーノ・ロナウドとの1対1を完全に抑えるなど王者レアル・マドリード相手にみせたプレーは、新たな昌子選手を象徴するパフォーマンスだった。

この成長をきっかけに、2017年のワールドカップアジア最終予選では吉田選手とコンビを組む形で3試合に先発出場。日本代表のポジション争いでも主役の1人に躍り出た。

吉田選手がケガで不在のマリ戦では、槙野選手と昌子選手が先発で並んだ。6月のワールドカップ本大会では、復帰する吉田選手とともにどちらが先発の座をつかむのか。いずれも日々成長を続けている選手であるため、本大会までのJリーグで見せるパフォーマンスが決め手になりそうだ。

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