敵地でサウジアラビアに敗れて1勝2敗の剣が峰
サッカー日本代表が早くも剣が峰に立たされた。2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会アジア最終予選は10月7日、各地で第3戦が行われ、B組の日本は敵地のジッダでサウジアラビアに0―1で痛恨の敗戦を喫した。
約6万人の観衆が詰めかけた完全アウェーの中、FW大迫勇也(神戸)やMF南野拓実(リバプール)らが好機を生かせず、後半26分にハーフウェーライン付近でボールを持ったMF柴崎岳(レガネス)が主将のDF吉田麻也(サンプドリア)に不用意に送ったバックパスがミスに。カウンターからサウジアラビアのFWブリカンに決勝点を奪われた。敵地スタジアムの異様な盛り上がりは最高潮に達した。
これで3試合を終えて1勝2敗の勝ち点3。サウジアラビアとオーストラリアは3連勝で勝ち点を9に伸ばした。7大会連続のW杯本大会出場を狙う日本は序盤からつまずき、崖っぷちに追い込まれた大揺れの状況で、10月12日に埼玉スタジアムで第3戦のオーストラリアとの大一番に臨む。
負傷の久保建英(マジョルカ)、堂安律(PSVアイントホーフェン)らもチームを離脱するピンチ。最終予選はA、B各組6チームがホームアンドアウェー方式で来年3月まで争い、各組上位2チームが自動的に出場権を獲得。各組3位同士の勝者が大陸間プレーオフに回る仕組みだが、22年11月の本大会へ暗雲が垂れ込めている。
「ジョホールバルの歓喜」
W杯予選は過去にも「ドーハの悲劇」をはじめ激闘の歴史を繰り返してきた。振り返れば、一喜一憂のドラマティックな展開となった1998年フランス大会のアジア最終予選では1997年10月に加茂周監督が更迭された例もある。
当時の予選は初戦のウズベキスタン戦でエース三浦知良が4ゴールを奪う活躍などで6-3と快勝したが、ホームの第3戦でライバル韓国に屈辱の逆転負け。そんな中、第4戦のカザフスタン戦で後半終了間際に追いつかれ、1勝2分け1敗となった直後に協会が加茂監督の解任と岡田武史コーチの昇格を決断した。
しかし、その後もチームは一進一退。国立競技場のピッチにペットボトルや発煙筒が投げ込まれ、日本代表のチームバスが群衆に囲まれ、生卵がぶつけられたこともあった。結局、日本はイランとのアジア第3代表決定戦に回り、延長後半に途中出場の岡野雅行が歴史的な決勝点。悲願のW杯初出場を決め、後に「ジョホールバルの歓喜」と呼ばれた。
2010年南アフリカ大会は3次予選前の2007年11月にオシム監督が脳梗塞で倒れたため、急きょ再登板で後を継いだ岡田監督が本大会へ導いた。岡田氏がW杯南アフリカ大会まで務め、ベスト16入りした。
次の豪州戦で連敗すると監督交代論も?
日本は9月2日に大阪・パナソニックスタジアム吹田でオマーンに0―1で敗れ、ホームで黒星スタート。9月7日の第2戦は新型コロナウイルスの影響による渡航制限のため中立地のドーハで開催され、中国を1―0で下して初勝利を挙げた。
日本サッカー協会(JFA)は前回2018年ロシア大会では予選を突破したハリルホジッチ監督を本大会直前に成績不振などを理由に解任し、後任に西野朗氏が就いている。西野監督の下で臨んだ日本はベスト16入り。ベルギーとの決勝トーナメント1回戦は終了間際に逆転され、初の8強入りは逃したが、一定の成果を残し、大会後に後任監督に就任したのがコーチから昇格した森保一氏だった。
今大会の最終予選、サウジアラビア戦では選手の交代策や起用法が効果的でなかったとの指摘も出ており、仮にホームのオーストラリア戦で連敗するようなことがあると、森保監督の交代論も浮上する可能性が出てくる。
最終予選3試合でわずか1得点。攻撃の組み立てでも課題が浮き彫りになった。短期間でチーム全体の立て直しが迫られそうだ。
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