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フリーマンサッカーで全国をめざせ!大分高校サッカー部の秘密とは?

2017 5/15 09:56takutaku
サッカー
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出典 Krivosheev Vitaly/Shutterstock.com

大分県高校サッカーの強豪、大分高校。 サッカー部の歴史はまだ浅いだが、県下では上位常連校として有名だ。 今回はそんな大分高校サッカー部の戦績、監督・選手など気になる情報をまとめた。

大分では常勝軍団の仲間入り!県優勝8回を誇る大分高校サッカー部

大分高校は、1952年に創立された男女共学の私立高校だ。高校としての歴史はまだ半世紀ほどと浅いのだが、サッカー部の評判と戦績はうなぎのぼりだ。全国高校サッカー選手権の大分県予選では過去8回優勝を飾り、大分の代表として全国の強豪と熱闘を繰り広げている。
特に、2011年年度の第90回大会では、大分県勢としては史上初の第3位に。高校サッカー界では大分県の成績・レベルはそれほど高くはないのだが、大分高校は奮闘している。

大分高校躍進の影に朴監督の存在あり!

大分高校の活躍を支えている最大の功労者といえば、文句なく、監督の朴英雄氏だろう。朴監督は韓国出身だが、32歳の時にその指導力を見込まれて大分市に招かれ、翌年から大分高校の監督として辣腕を奮っている。
朴監督の目指すサッカーは「フリーマンサッカー」だ。これは攻守にわたって選手の個性を見極めて戦術を組み立てていくスタイルで、現代サッカーでは重要な戦術の1つとされている。
あらかじめ戦術を決めて、そこに選手をはめ込んでいくのではなく、まず選手の能力や個性を分析し、チーム全体の戦力を算出してから、現状で追求できる最高のサッカーをするために戦術を柔軟に変化させていく、これがフリーマンサッカーのポイントだ。

大分高校が実践する「フリーマンサッカー」

フリーマンサッカーは、今でこそプロやアマの間でもポピュラーになった戦術だが、朴監督が指導を始めた頃は、高校サッカーでこの戦術を柱に据えて指導する監督はほとんどいなかった。
というのも、この戦術を実行するためには選手の個性を正確に見抜いて、チーム全体の総合力を分析する力が必要であり、そのためには自らも優れたサッカー選手として経験を積んでいることが必要となるからだ。
朴監督自身、地元の韓国では優れたアマチュア選手として活躍していたため、10代のサッカー少年たちがどのような身体能力や技術を持ちうるのかをよく理解していたのだ。

「弱くても勝つ!」不利な条件でも負けない大分高校

朴監督率いる大分高校は「弱くても勝つ!」を体現してきたチームだ。高校サッカーで優秀な成績を挙げる名門校には、地元や周辺地域からサッカーエリートたちが集まり、その中で厳しく競い合い、さらにチームの実力が上がっていくという仕組みができあがっている。
ところが、大分高校サッカー部には、いわゆるエリート少年たちはほとんど集まってこない。九州には東福岡や国見といった全国優勝の常連チームをはじめ、名だたる超有名校が多くあるからだ。将来サッカーのプロを目指す少年たちは、残念ながら大分高校には見向きもしないというのが現実なのだ。
そのような不利な条件にもかかわらず、大分高校の戦績はめざましく、インターハイや全国高校サッカー選手権では常に大分県代表候補に名を連ねている。

2017年も安定した強さを見せる大分高校

朴監督の著書「サッカーで一番大切な『あたりまえ』のこと」は、高校サッカーの指導者にとって大切なことが網羅されている。
この本の目次を見ると、最初に「いまある戦力で最も効率よく勝つ方法」という戦術論を披露されている。監督というと、つい自分の理想的なサッカーを頭に描きその戦術を組み立てて、選手たちをあたかも「駒」のように見立ててしまいがちだ。しかし、それでは選手の個性は活かしきれない。
選手の能力がまずあって、その総合力がチームの実力なのだとしたら、当然戦術も選手の個性を活かせるものへ臨機応変に変化させるべきなのだ。朴監督が考える「あたりまえ」とはそういう意味と捉えることができる。
そして、2017年も朴体制の下、大分高校の躍進は続いている。県内で行われた2016年度の新人戦やリーグ戦では大分高校は見事優勝し、変わらぬ実力を見せてくれた。全国選手権では惜しくも途中敗退したが、2017年の冬、再び全国制覇の夢を目指して復活してくれることだろう。

まとめ

サッカーは11名で行うスポーツだ。選手の能力ももちろん重要だが、それ以上に指導者の采配次第で成績が大きく変わってしまう競技だ。 大分高校躍進の影には朴英雄監督の独特の考え方と優れた指導力があった。 大分高校躍進の秘密をもっと知りたい方は、朴監督の著書を手にとってみてはいかがだろうか。