オリンピックのメダル獲得数No.1・アメリカ
ボート競技が強い国といえば、まずアメリカが挙げられます。特にボート競技界で最も権威のある大会とされている、オリンピックでの活躍が目立ちます。これまでのメダル獲得数は、金メダル33、銀メダル32、銅メダル24の合計89個で、68個を獲得している2位のイギリスと比べても圧倒的な差があることがわかります。
アメリカの強さを支える要因のひとつと言えるのが、学生ボートの盛り上がりです。アメリカの大学スポーツにおいて、ボート競技はアメリカンフットボールやバスケットボールに並ぶほどの人気なのです。大学のボート競技の大会では、ハーバード大学をはじめとする世界でも超名門とされる学校が上位争いを繰り広げています。
学生ボートの盛り上がりによって選手層が厚くなることが、メダルを量産できる理由のひとつと言えるでしょう。
アメリカに次ぐメダル獲得数・イギリス
これまでオリンピックでのメダル総獲得数が68個と、アメリカに次ぐ2位となっているのがイギリスです。2016年のリオデジャネイロオリンピックでも、ボート競技の花形種目とも言えるエイトで18年ぶりの金メダルを獲得しています。また、オリンピックに次ぐ大きな大会である世界選手権でも、2013年から2015年にかけて3連覇しました。
これらの成績は、1716年にロンドンで開催されたレガッタが近代ボート競技の始まりとする説もあるなど、長い伝統が引き継がれていることが理由のひとつでしょう。近年では、オリンピック、世界選手権で後述のドイツとの上位争いを繰り広げるなど、ドイツと並ぶ2強と称されることも多いです。
東西分裂時代からの強豪・ドイツ
今日ではイギリスと合わせて2強と称されるドイツ。しかし、その強さは今に始まったものではなく、かつて国が東西に分かれていた時代にはアメリカと並ぶ実力を持っていました。
特に東ドイツは、オリンピックのメダル総獲得数48個ですが、金メダルではアメリカに次ぐ33個の記録。これは分裂していた41年間という短い歴史の中で獲得されたものです。これに西ドイツ、東西統一ドイツ、そして現在のドイツでの獲得メダルを合わせると、アメリカとイギリスを超える記録になります。
近年では2012年のロンドンオリンピックのエイトで金メダルを獲得しましたが、ここ数年の世界選手権ではイギリスに敗れて銀メダル。リオデジャネイロオリンピックでも銀メダルに終わるなど、イギリスに一歩リードを許している状態です。
女子選手の活躍が目立つ・ルーマニア
特に女子種目での活躍が目立つのが、ルーマニアです。オリンピックでは、1996年のアトランタ、2000年のシドニー、2004年のアテネとエイトで3連覇を達成しています。
また、個人でも名選手が揃っていて、エリサベタ・リパ選手は、オリンピックで金メダル5、銀メダル2、銅メダル1と合計8個のメダルを獲得。ゲオルギータ・ダミアン選手も金メダルを5個獲得しているほか、ドイナ・イグナト選手とビオリカ・スサヌ選手が金メダル4個と続きます。
近年はオリンピック3連覇の時代と比べると勢いは落ちていますが、2016年のリオデジャネイロオリンピックではエイトで銅メダルと、かつての強さを取り戻しつつあります。
東京オリンピックを控える日本の実力は?
一方、2020年に東京オリンピックの開催を控える日本チームの実力も気になるところ。しかし、これまでのオリンピックでは、2000年と2004年に記録した男子6位が最高と、メダル獲得には至っていません。
2016年のリオデジャネイロでは、軽量ダブルスカル(2×)で男子の大元英照・中野紘志組、女子の大石綾美・冨田千愛組が出場。大元・中野組は2016年アジア・オセアニア大陸予選で2位入賞し、大石・冨田組はアジア・オセアニア大陸予選で1位通過、2015年のユニバーシアードでは日本ボート界初の金メダルを獲得しましたが、メダルに届かずという結果に。
また、軽量ダブルスカル以外の種目では、2000年のシドニーでの男子軽量フォア以来、日本は出場していません。これまでご紹介した強豪国がエイトなど団体種目で輝かしい成績を収めている一方、日本では世界で戦えるチームを結成できるほど、選手層が厚くないといった現状もあります。
まとめ
これまでのオリンピックでのメダル獲得数をみてみると、今回ご紹介した国が圧倒的な強さを誇っていることがわかります。
しかし、近年は比較的実力が拮抗していて種目も多いことから、どの国が表彰台に立つのかわからない状態です。
今後これらの強豪国によって繰り広げられるメダル争いと、そこに入り込んでくる新しい国との戦いから目が離せませんね。