「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

東京五輪“行列のできるチケット販売所” 目玉は2020円企画

2019 5/11 07:00田村崇仁
東京五輪チケットの抽選申し込みが始まったⒸゲッティイメージズ
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒゲッティイメージズ

28日まで受付、初日は最長2時間待ち

2020年東京五輪の国内在住者向けチケットの抽選申し込みが9日午前10時から公式販売サイト(https://ticket.tokyo2020.org)で始まった。5月28日午後11時59分まで受け付け、抽選結果は6月20日に発表される。

大会組織委員会によると、初日は開始直後からサイトへのアクセスが集中し、午後5時までの7時間で延べ130万人に到達。公式サイトは大量アクセスに備え、待ち人数や時間を表示する「ウェイティングルーム(待合室)」のページに誘導する仕組みを設定しているが、最大18万人が待機し、最長2時間の待ち時間が生じた。途中で手続きを進められなくなる現象もあり、問い合わせが殺到した。

ただ、抽選チケットは先着順ではないので、申し込みの締め切りまで時間は十分にある。焦る気持ちを抑え、慎重に計画して選択することが大切だろう。

東京五輪のチケット購入の流れⒸSPAIA

ⒸSPAIA

予選なら当選チャンス拡大?

チケット購入にまず必要な「ID登録」も抽選申し込み開始後から増え続け、9日の午後5時時点で355万人を突破。組織委は申し込み順で当選確率に影響は出ないため、混雑を避けてアクセスするよう呼び掛けている。

手が届きやすい料金設定で「気軽に家族や仲間と一度は観戦してみたい」という人には、1枚2020円で購入できる目玉の企画チケット「東京2020みんなで応援チケット」は一つの狙い目。12歳以下(競技開催日時点)の子ども、60歳以上(同)のシニア世代、障害者のいずれかを1人以上含む家族やグループで観戦できる企画チケットで、対象は開閉会式と予選を中心とした全競技のセッション(時間帯枠)となる。

座席エリアは各競技・会場の最下位席種を割り当てられるが、最高30万円の開会式チケットは最安値のE席でも1万2000円のため、当たれば相当な「お買い得」。同時に抽選倍率も跳ね上がる可能性もあるが、平日開催の各競技予選であれば当選チャンスは広がりそうだ。競技によって倍率もさほど高くないとみられる。

日中は「長蛇の列」、狙い目は夜?

公式販売サイトはネット上で「待合室」が設定され、アクセスの順番を待つためのページでは人が歩いているような画面で「長蛇の列」を数字で表示。「534500」と書かれていれば、順番を待っているユーザーが53万人もいることになる。待ち時間の見積もりが「1時間以上」と示されていれば、つながるまで相当な我慢が必要となる。

ただこれも時間帯で大きく異なり、早朝や深夜であれば、比較的スムーズに入れる可能性がある。

当選なら購入義務付け、罰則も

今回の五輪チケットは「ダメ元で多めに申し込んでおこう!」と考えるのは早計かもしれない。当選した場合は全て購入が義務付けられており、慎重に申し込む必要がありそうだ。

チケット価格は上限30枚まで当たったら価格帯によって相当な高額となる。支払いで二の足を踏んで手続き期限となる7月2日を過ぎたら、購入の権利を全て失うだけでなく、今夏に予定されるパラリンピックのチケット抽選申し込みで優先順位を下げられるペナルティー(罰則)を受ける可能性もある。

一方で購入後に観戦できなくなった場合は来春以降、公式リセールサービスを通じて定価で譲渡できる。ただ買い手が付かなければ転売は成立しない点には注意が必要だ。

不正転売は厳罰

買い占めや価格高騰につながりかねない「不正転売」は厳しく取り締まる。組織委はネットオークションなどの運営大手にチケットを取り扱わないよう要請し、メルカリ、ヤフー、楽天の3社は自社のアプリやサイトでのチケット出品を禁じている。

個人同士の取引は依然介在する余地もあるが、インターネットなどを通じた非公式な転売は、6月に施行される入場券不正転売禁止法に触れる可能性がある。当たったら確実に観戦する試合だけを選んで、申し込むのが堅実と言えそうだ。

日本戦の日程未定で買いにくい団体球技

五輪チケットは合計720以上のセッション(時間帯枠)単位で販売され、同じ種目でも値段が変わる。席種はA~Eの最大5種類で入れ替え制。猛暑が予想される東京五輪は空調のきいた屋内競技にも人気が集まりそうだ。特に伝統的にメダルを量産してきた競泳や柔道、体操をはじめ、追加種目の空手、躍進するバドミントン、卓球などは高倍率が予想される。

一方で野球・ソフトボールやバスケットボールやバレーボールなど人気の団体球技は、出場チームや組み合わせも決まっておらず、日本戦がどの日に組み込まれるかもすべては確定していない。この段階でチケット販売が始まり、組織委は「買いにくい難しさは理解している」と受け止める。

東京五輪の主なチケット価格ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

カードか現金で決済

全体のチケット総数は780万枚。これはプロ野球1球団の4~5年分に相当するという。当選したチケットは全部を一括で購入する必要がある。例えば15枚当たった場合で「開会式とサッカー決勝以外はいらない」というのは不可。全て購入しないと、全ての当選チケットが無効になってしまう。カードの上限額にも注意が必要となる。

購入手続きは6月20日から7月2日午後11時59分までに終えなくてはならない。販売サイトで現金かクレジットカードのどちらで支払うかを選択。クレジットカードは大会スポンサーのVISAカードのみが有効で、現金ならコンビニ窓口での支払いになる。

QRコードは注意

チケットは発行、配送の手数料を支払って紙のものを受け取るのも、自ら印刷するのも可能。スマートフォンやタブレット端末でQRコード付きの電子チケットとしても受け取れる。未完成の会場もあり、詳細な座席位置を確定できないため、発行は来春以降の見通しだ。

チケットには入場者の情報などが入ったQRコードが記されているが、会員制交流サイト(SNS)などにアップすると、写ったQRコードが悪用される恐れがあり、組織委は注意を呼び掛けている。

今秋以降に敗者復活も

今回の抽選で1枚も当たらなくてもチャンスはある。組織委は今秋以降、公式サイトで先着順に販売するほか、来春以降には都内に販売所も設ける。小中校生らを対象にチケットを1枚2020円で販売する「学校連携観戦チケット」や富裕層向けに飲食サービスなどが付いた高額な企画チケットも準備している。

海外在住の場合、各国のオリンピック委員会などを通じて購入することができる。今回の抽選は国内在住者限定だが、海外にいる家族や友人の分をまとめて申し込むことはできる。日本に住む外国人が母国の家族の分を購入し、一緒に観戦することも可能となる。

電話対応は土日も可

電話のコールセンターは0570(00)2020。受け付けを締め切る今月28日までに限り、平日だけでなく土曜と日曜も開設することが決まった。