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秋山成勲インタビュー ONE CHAMPIONSHIP初戦へ気合

2019 5/19 11:00高須基一朗
秋山成勲,Ⓒモッツ出版株式会社
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Ⓒモッツ出版株式会社


2018年12月にUFCからONE CHAMPIONSHIPへ主戦場を変え、今夏に久々の復帰戦を予定している秋山成勲がSPAIAの独占インタビューに応じた。ONE移籍への経緯や、初戦を白星で飾るために準備していることなど意気込む胸中を明かした。

「ONEは皆が参戦したいと思える団体」

—まずは今年3月に華々しく日本開催を果たしたONE CHAMPIONSHIP(以下、ONE)両国国技館大会をリングサイドでご覧になって率直に…両国国技館大会へ出場したかったですか?

秋山成勲(以下、秋山):良い興行になっているなと感じましたね。第三者的に客観視していた自分がいて、日本で新しい格闘技ブームを生み出そうとしているのが見えたし、賛否はあると思うんですけど、自分はそういったブームを起こしてくれる期待が(ONEに)持てましたね。出場の打診があれば準備しましたね。

—昨秋からONEの日本での知名度が高まった絶妙なタイミングで秋山選手の契約発表だったと思うのですが。

秋山:ここ一年ほどで格闘家ならば、皆が参戦したいと思える団体になっていると思います。そしていろんなカテゴリーのキックやムエタイやMMAと、目の肥えたファンからしたら盛り沢山な興行イベントですよね。

そこで自分も戦えることに良いタイミングでチャトリ(ONE代表)と話せる状況が出来たので、本当にありがたいですね。本当にタイミングが良かったです。選手層も厚くなって興行数もますます増えて、新しい格闘技の歴史をつくるっていうコンセプトのONEは正解なんだろうと思っています。

—今、話に出たチャトリCEOとは、どのぐらいのタイミングから交渉していたのでしょうか?

秋山:去年、AbemaTVの企画の「格闘代理戦争」で私が推薦した選手が勝ち上がってONEと契約することになり、監督として付き添いでマニラへ行ったのですが、そこで初めてチャトリ氏と知り合ったんです。それからこまめに連絡を取り合う関係になって、自分もUFCと契約していたので、まずは段階を踏んでUFCを区切るにも継続するにも話をしに行ったんですよね。そうしないと次に新天地で戦うって話が出来ないじゃないですか…。

ちゃんと筋を通して、昨年末にUFCと契約を終わらせて、ONEと交渉の席についた形です。ここ半年間ぐらいで、あれよあれよと契約した感じですね。

—秋山選手からUFC側へ契約終了をお願いした形なんですね?

秋山:はい、自分から話しに行きましたね。ちゃんとOKをもらって、その上でONEと交渉してって感じですね。

「UFCで格闘技人生は終わると思っていた」

—2009年から2018年の10年間は結婚に子育てなどプライベートも多くのことがあり、世界最高峰UFCのトップ戦線での戦いで苦しんだ時期もあったと思うのですが、振り返るとどうですか?

秋山:正直言って、お腹いっぱいのところまで来たと思ったんですけどね。このままUFCで格闘技人生は終わるんだろうなと頭に入れながら練習していたんで。それに一つ前のUFCでの試合(2015年11月)も、かなり前ですからね。

ただ、韓国でもう一回だけ試合をしたいと思っていてUFCにもずっと伝えていたんです。UFC側も韓国大会の時には必要だから、わかったと話してくれていたんで。ただ、そこでONEの韓国大会開催の話が浮上して、やっぱり年齢のこともありますし、出来る限り早いタイミングで韓国にて試合をしたいと思ってアジアのマーケットに強いONEとの契約に踏み切った感じです。こうなると自分の格闘技に対する情熱や気持ちがガラっと戻るっていうんですかね、モチベーションは高くなりましたね。

—そうなるとONEの韓国大会が再起戦となるんですかね?

秋山:いや、その前に1試合か2試合やりたいと思っています。夏前から夏ぐらいにはやると思います。今まさにどうするかって話を詰めているタイミングですね。もうすぐ発表できると思います。

—そうすると年内2試合ないし3試合ですかね?

秋山:そうですね…2試合ぐらい出来たらいいですよね。ブランクもありますし、韓国大会でビックマッチをやりたいという思いもあります。自分の身体との相談もありますが、1回やって、どんと休んでではダメだと思っています。できる限り試合間隔を空けないで続けて試合をしていったほうがいいのではないかと思っています。

—そうなるとHERO'Sへ参戦していた時代のように、2~3か月の期間に一度は試合をしていきたいという感じですね。

秋山:そう思っています。ただ、その頃の身体とも違うのはわかっているので、どうなっていくのか楽しみですね。フィジカル的なものは、そんなに変わっていないと思うのですけど、疲労回復であったりとか、あとは“優れた感性の目”ですよね。

トップ戦線で活躍する若手の選手たちには共通して、そういった瞬時に判断できる優れた“目”っていうのがあると思うんです。これって、本当に感覚の話なんですけどね。

—例えばRIZINで活躍している朝倉兄弟とかが、流行りの判断力を持つ養われた目を持ってますよね?

秋山:目のセンスの流行りがありますよね。僕は既に古い目だと思うんですよ。HERO'Sの時は流行りの目を僕も持っていたと思うんですよね。けど、それが10年以上経てば、どんどん進化していった上で、目の感覚が鈍いってことではなく、古いって思っています。

そこを若いやつと練習を積み上げていくことで、目の流行りを取り戻す作業が絶対に必要だと感じています。そして、その流行りに乗っていきたいと思っています。

「韓国大会でビックマッチを」

―練習環境はどうですか?

秋山:打撃はバンゲリングベイというジムへ行って、GENスポーツアカデミーの山田宗太郎君にグラップリングを学んだりもしています。見ていると指導の仕方が上手いっていうかポイントを知っていて、パズルを組み合わせるのが上手なんですよね。

—試合に向けて帯同するメンバーなどはそうなると、バンゲの白川さんとかになるんですかね?

秋山:それ以外にプラス新しい人材を組み合わせたいと思っています。宗太郎君にはまだ話していないですが、彼が一緒にセコンドにいてくれるのも心強いですし、次に日本に帰国したら相談したいと考えています。

—チーム名は、再びチームクラウドですかね?

秋山:何も考えていなかったです。どうしましょう、ONEでも必要になるんですかね。

—今回の参戦で秋山選手に国内のスポンサーも付きそうな気がするのですけど、そのあたりはどうですか?

秋山:それも現段階で何も考えていなかったです(笑)。今回、ONEへの参戦が決まって、契約条件がすごく良いので。まずは久々の試合になるので試合に集中することが大切だとは思いますけど、応援してくれる方がいるのであれば、それはありがたいですよね。

—試合にしっかり準備できるだけの、金銭面も含めて条件が相当良いんでしょうね(笑)

秋山:個人スポンサーのお金を当てにすることなく、ファイトマネーだけで、今回すごく評価してもらっているのでありがたいですし、それに応える、ファンが喜ぶ試合を絶対にしたいと思っています。

—ウェルター級(83kg)での参戦でいいんですよね?

秋山:もちろん、ウェルター級で参戦します。

―そうなると先日、UFCからONEへ参戦してきた岡見勇信選手やパンクラスの鈴木選手など、同階級に名だたる日本人ファイターがいますが、将来的に対戦はどうですか?

秋山:チャトリ氏が日本人同士の対戦を実現させたいとオファーしてきたら、それはやりますよ。彼はビジネスマンなので、何をビジネスモデルとしてONEに思い描いているか、必要ならばマッチメイクするでしょうし。

僕は求められる仕事をしっかりとやり切ることが大切であって、CHAMPION戦線へ名乗り出て戦うって事になれば当たり前に戦いますけど、そうでない限り、今は(チャトリ氏も)日本人対決を描いていないんじゃないですかね。

―遅かれ早かれ、このウェルター級において秋山選手か岡見選手がトップ戦線へ名乗りを上げる可能性は極めて高いと感じていますが、そのあたりの意識はどうでしょうか?

秋山:岡見選手は強い選手なので可能性としては高いのかもしれないですけど、本人もそのつもりで参戦してきていると思うので。ただ、自分は先ほど申し上げた通り、韓国大会が実現した時にビックマッチを持っていけるかということを考えています。なので、そのために必要な白星を一つ一つ積み上げていくことが大切です。

―確固たる決意がはっきりしているのですね。まずは夏の初戦を楽しみにしています。

秋山:久々の試合なので楽しみつつ、ONEのファンが評価してくれる試合を実現させたいと思います。