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エリザベス英女王がスポーツ界に残した多大な功績とは

2022 9/15 06:00田村崇仁
ロンドン五輪開会式に出席したエリザベス女王,Ⓒゲッティイメージズ

Ⓒゲッティイメージズ

日本にも縁、競馬「エリザベス女王杯」創設

英国史上最長の70年にわたって在位したエリザベス女王が9月8日、滞在先の北部スコットランドのバルモラル城で死去した。絶大な人気と尊敬を集め、存命する世界の君主の中でも最高齢だった女王の死で英国は大きな喪失感と追悼ムードに包まれているが、世界のスポーツ界にも多大な功績を残したことで知られている。

まず日本でなじみ深いといえば、競馬の「エリザベス女王杯」だろう。大の競馬好きで馬主としても知られた女王が1975年に来日した縁を記念し、日本中央競馬会(JRA)は翌1976年に競馬の「エリザベス女王杯」を創設。前身の「ビクトリアカップ」を距離や競走条件も踏襲した形だったが、英国の競馬と日本の競馬の深いつながりを表す象徴となった。

2022年11月のレースで第47回の歴史を迎え、現在は牝馬の頂点を争うGIレース(京都競馬場)として、競馬ファンからも広く親しまれている。

JRAの後藤正幸理事長は「女王陛下の競馬への情熱と貢献は、競馬に関わる全ての者にとって大きな誇りであり、その名前を冠した競走は世界中で愛されています」と哀悼の意を表すコメントを公式サイトで出した。

ロンドン五輪開会式では世界驚かす「名演」

2012年ロンドン五輪の開会式では、当時86歳の女王による「名演」が世界を驚かせた。 俳優ダニエル・クレイグさんが演じる人気スパイ映画「007」の主人公ジェームズ・ボンドにエスコートされ、特殊映像で一緒に五輪スタジアム上空のヘリコプターからパラシュートで勇敢に飛び降りたように見せるサプライズ演出だったが、筆者も当時会場にいてユーモアあふれる演出に度肝を抜かれたものだ。

女王の姿が貴賓席に現れると、メインスタジアムは割れんばかりの大歓声。実際に飛び降りたのはスタントマンだったが、近代スポーツ発祥の地として五輪やスポーツへの愛情と懐の深さを感じた瞬間でもあった。大会後、スタジアムや商業施設が構えて緑豊かな五輪公園は「エリザベス女王五輪公園」に改称され、現在も家族の憩いの場としてロンドンの名所の一つになっている。

国際オリンピック委員会(IOC)バッハ会長は公式サイトで「彼女がスポーツイベントに参加する姿を見るたびに、スポーツに対する感謝の気持ちや喜びが伝わってくる。彼女自身、馬術の名手でもあった。スポーツを楽しむとともに、彼女の素晴らしいユーモアのセンスは、ロンドン五輪の開会式での彼女の姿に、はっきりと表れていた」とコメントを寄せた。

テニスのフェデラーも追悼、プレミアリーグは中断

男子テニスの英雄ロジャー・フェデラー(スイス)は自身のツイッターで四大大会のウィンブルドン会場で女王と対面した際の写真を掲載。「彼女の優雅さ、気品、忠誠心は歴史の中で生き続けるだろう。王室と英国に、哀悼の意を表したいと思います」と追悼メッセージを残した。

女王はイングランド発祥のサッカーにも温かいまなざしを忘れず、死去を受けてプレミアリーグは軒並み試合を延期して中断。地元英国ではイングランドが制覇した1966年のワールドカップ(W杯)で試合後、女王がジュール・リメ杯(優勝トロフィー)を主将のボビー・ムーアに手渡した場面が語り継がれている。

「英国の母」と呼ばれた女王はスポーツ界にとっても、かけがえのない存在だった。

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