3戦連続のポールポジション獲得
今年海外デビューを果たし、F4 デニッシュチャンピオンシップでいきなり優勝を達成した野田樹潤が、9月27日に行なわれた第3戦に臨んだ。
第2戦でウェットレースも経験し着実に進化している野田だが、今回のレースの舞台となるRing Djurslandは未経験のサーキット。経験豊富なライバル勢を相手に厳しい戦いを強いられることが予想された。だが開幕戦同様、経験のないサーキットでまたしてもポールポジションを獲得。これにより、デビューから公式予選全てでトップタイムを記録するという離れ業を見せ、スピードでは負けていないことを証明した。
ポールポジションからスタートすることになったレース1。スタート直後の1コーナーで予選2位のSebastian Øgaardにパスされ2位、さらにMads Hoeにもパスされ3位に後退。4位のBenjamin Frislundと接近戦を演じながら周回を重ねていくが、レース残り7分を切ったところで、Frislundがブレーキングを遅らせすぎ野田に追突。レースに復帰するも、10位となってしまった。
レース1の結果、レース2は予選10番手からのスタートとなったが、6位まで順位をあげる見事な立ち上がりを見せた野田。前を走るHoeは、ストレートの立ち上がりで膨らみタイヤをダートに落としてしまう。その隙を見逃さずにストレートで並びかけ、オーバーテイクを試みるも接触してしまい野田は最下位に。そこから追い上げなんとか7位でレースを終えた。
レース3では見事な追い上げを見せるも初のリタイアに
最終レースとなるレース3は8番グリッドからスタート。好スタートを決めた野田は5番手に浮上し、さらにストレートエンドでブレーキングを遅らせ4位のConrad Laursenをオーバーテイク。終盤にトップ3に追いつき3位のWilliam Wulfを最終コーナーで抜こうとするも、強引にインを閉められ接触し、両者リタイア。これは、野田にとってはじめてのリタイアとなった。
マシンを速く走らせることに長けている野田は、未経験なサーキットでもポールポジション、さらにコースレコードを記録するなどスピードにおいては負けていない。しかしコース上でのバトルに関してはこれまで経験がない分、まだ戸惑う部分があるのかもしれない。今後の課題はマシンを速く走らせるのではなく、バトルにおける勝負強さなどの引き出しを増やすことではないだろうか。
今回ライバルたちとのバトルの中で接触が多く、速さを結果に結びつけることができなかった。まさにヨーロッパで洗礼を受けた格好となったが、この接触は海外のライバルたちを知る良いきっかけになったのではないだろうか。
確かに相手をリタイアに追い込むようなラフなドライビングは許されないが、彼らは「どんな手段を使っても勝ちたい」という、さらに上を目指すうえで必要なメンタルを持っている。日本では野田の年齢で、そういった相手とのレースは経験できない。早くもこの環境でレースが出来ていることを考えると、今後物凄いスピードで進化してくれるのではないだろうか。
次回第4戦は10月10日から11日にPadborg Parkで行われる。残りのレースでは経験したサーキットでの開催となるため、これまで以上の成績が求められる。今回の目標であった「圧倒的な速さを確実に勝ちに結びつける」を、次回以降達成してくれるはず。未経験にも関わらず速さを見せただけに、経験を積んだサーキットでの走りは期待せずにはいられない。
今回はポイントを増やすことが出来なかったものの、現在はランキング6位。シリーズを考えると次戦のPadborg Parkでの結果が重要になってくる。レース後の「他から当てられないくらい、さらに速くなれば良いだけのことです」という野田のコメント通り、経験済みのサーキットで今まで以上の走りを見せてくれるだろう。
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