野田樹潤が海外デビュー
昨年まで岡山国際サーキットで行われていたU17フォーミュラで戦っていたJujuこと野田樹潤が、6月20日に海外デビューを果たした。
野田は小学生にしてフォーミュラカーを乗りこなすなど、これまでの常識を覆してきた。今年14歳になる野田は、年齢的に国内の公式レースに出場することができない。そのため、今年から現在の年齢でも出場が可能なF4デニッシュチャンピオンシップに参加するため、デンマークに拠点を移した。
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で、当初予定されていた開幕戦と第2戦が中止。開幕が1カ月以上遅れてしまったが、FDMユランズリングで6月20日から21日にかけて開幕戦が行われることになった。
イレギュラーなスケジュール変更、コロナウイルスの影響でジムでのトレーニングも満足に出来ないなど、野田にとってはじめての海外戦は苦難のスタートだった。
しかし、野田は予選から速さを見せつけた。
ぶっつけ本番のサーキットで見せつけた速さ
上記に示したこと以外に、野田には不安要素があった。それは開幕の地、FDMユランズリングでの走行経験がないことだ。
本来開幕戦が行われる予定だったパドボルグ・パークは、野田がデンマークに来てから練習を行っていたサーキットで、すでにコースレコードを更新するなど開幕に向けて準備は整っていた。
だが、新型コロナウイルスの影響でスケジュールが変更され、走行経験のないFDMユランズリングが開幕の地となったのだ。予選前に行われる20分のフリー走行がはじめての走行となり、そこから予選、決勝とサーキットを覚える時間はあまりに少ない。経験が全くない野田、そしてチームに対して、ライバルたちは走行データを持っているという極めて厳しい状況の中、野田は持ち前の速さを見せつけた。
フリー走行を終え、迎えた予選。トップから僅か0.028秒差の2番グリッドを獲得。しかもトップタイムを記録したコンラッド・ローセンがペナルティを受けたため、繰り上げでポールポジションからスタートすることになった。
決勝でもファステストラップを更新する攻めた走りでそのまま優勝、なんとデビュー戦でポールトゥウィンを達成したのだ。信じていたとはいえ、この結果には日本で応援していたファンも驚いたことだろう。
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悔しいレース2を乗り越え、レース3では見事な追い上げを見せる
1大会3レース制のF4デニッシュチャンピオンシップは、翌日21日に2レースが行われた。レース2はレース1で上位8位でフィニッシュしたドライバーはリバースグリッドとなるため、野田は8位からのスタート。
野田は順調にレースを進めるも後続車のアクシデントもあり、セーフティーカーが導入されレース周回数が少なくなってしまう。レース3のグリッドはレース1とレース2のコンバインドで決まるため、野田は4位以内に入ればレース3をポールポジションからスタートすることができる。
このことを冷静に判断した野田は、リスクを犯さずタイヤをセーブしながら周回を重ねる。それでも8位から3位まで順位をあげフィニッシュ。連続の表彰台を獲得し、レース3のポールポジションを獲得したかにみえた。
しかし、装着しなければいけないタイヤを履いていなかったとして、失格の裁定が下ってしまった。悔しい結果となった野田だが、気持ちはすでにレース3に向いていた。
本来、最終レース3はポールポジションからスタートするはずだった野田。だが、レース2失格を受け12番グリッドからのスタートを余儀なくされた。
とにかくプッシュして順位をあげる必要があった野田だが、レースは度重なるアクシデントで2度もセーフティーカーが入る荒れた展開に。そのため、レース周回数が少なくなってしまったが、短い時間で順位を上げていった野田は、見事3位でフィニッシュ。自信に繋がるデビュー戦となった。
未経験のサーキットで力強い走りをみせた野田。次戦は何度も走ったパドボルグ・パークが舞台だ。第2戦はさらなる結果を出してくれるに違いない!
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