外枠有利で地方馬にもチャンスあり
8月12日(月)に盛岡競馬場で行われるのはクラスターC(JpnⅢ・ダ1200m)である。コパノキッキングに騎乗する藤田菜七子騎手による、女性騎手初の交流重賞制覇がかかる一戦だ。オッズ的にも一本被りになることが予想されるが、この快挙に待ったをかける人馬がいるのか、今回もデータを参照しながら検討していく。
盛岡競馬場は地方競馬場で唯一芝コースがある競馬場である。クラスターCで使用されるダートコースは、芝コースの外側に設置されており、いわば北米スタイルだ。そのため、向正面が長くコーナーが大きい特殊な形状をしている。したがってインコースを通るメリットが小さく、外枠の方が競馬をしやすい。
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表に示したクラスターCの過去10年を見ても、やはり6~8枠の良績が目立っている。外枠に狙った馬が入れば積極的に狙っていきたい。
中央馬断然のイメージがある交流重賞だが、中距離路線に比べて短距離路線は地方馬の健闘も多くみられる。
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今年も東京スプリントをキタサンミカヅキが制したほか、今回出走予定のメイショウアイアンが北海道スプリントで2着と穴を開けた。
当レースでもラブバレットが4年連続で馬券圏内に入るなど地方馬が活躍している。馬券に絡んだ地方馬を見ると15年のラブバレットを除く7頭はこれ以前にも交流重賞での好走歴があった。地方馬を狙うならこの点に注目してみたい。
強さを見せる5歳馬と牝馬
続いて年齢別の成績に注目する。
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地方馬・中央馬問わずに算出したため、地方馬の多い7歳以上の連対率が極端に低いのは参考程度と解釈したい。ただ、未勝利というのは気になるところで、高齢馬を過信するのは危険。トップの6勝を挙げているのは5歳馬で、1着固定する買い方ならば5歳馬を中心視したい。
次に牡牝別の成績だが、牝馬が圧倒的に優勢。昨年のオウケンビリーヴをはじめ、5番人気以内に限れば[3-1-3-3]と好調だ。酷暑の中での一戦になるだけに、「夏は牝馬」の格言通り牝馬を買うのが鉄則だ。
極めて高い千二適性
本命は、前走の北海道スプリントを楽勝したヤマニンアンプリメ。5歳、牝馬というデータに合致するのはもちろんだが、同馬が千二の距離で見せているパフォーマンスの高さを評価したい。千二に限れば目下3連勝中で、岩田騎手とのコンビも新馬戦での競走中止を除けば3戦3連対と抜群の相性だ。6枠10番とある程度外の枠を引き当てたのも好材料。
対抗はコパノキッキング。中間にフレグモーネがあった影響が気になるが、前走の東京スプリントは雨で前が止まらない馬場で、勝ち馬は2番手から盤石のレースぶり。それを出遅れから強引に追い上げて、接戦にまで持ち込んだ内容は非凡な能力の証明といえるだろう。ゲートに難があり器用さに欠けるタイプなので鞍上の手腕が問われるのは間違いないが、大箱の盛岡コースはいかにも合いそうだ。
3番手はノボバカラ。データ上の強調点はないものの、北海道スプリント当日の門別は内を通った馬が苦戦する馬場状態。その中で内ラチ沿いを回り続けて3着なら、勝ったヤマニンアンプリメとも見た目ほどの差はない。盛岡では南部杯2着の実績もある。
地方馬の中で過去に交流重賞での好走歴があるのはラブバレット、ショコラブラン、メイショウアイアン、ブルドッグボスの4頭。どこまで買い目に入れるかはオッズとの相談になりそうだが、穴として期待しているのはブルドッグボスだ。さきたま杯の大敗で評価が落ちそうだが、元々浦和の千四が合う馬ではない。加えて13か月の休み明けだったことを思えば、見限るのは早計だろう。2度叩かれて本来の出来に戻っていれば大駆けがあっても不思議はない。
▽クラスターC予想▽
◎ヤマニンアンプリメ
○コパノキッキング
▲ノボバカラ
穴ブルドッグボス
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《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。