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【マイルCS】前走の敗戦は度外視 過去の馬場傾向に合うのはプリモシーン

2019 11/15 11:00三木俊幸
2019年マイルCSのインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

内ラチ沿いを通った馬の台頭が目立つ

先週の日曜日は競馬撮影ではなく、友人の結婚式に参列。カメラマンとして撮影も行ってきた。普段、馬とは直接会話しないため、声がけを必要とする人間相手の撮影は少々勝手が違うなと感じ、新たな発見と反省点も見つかった。十分すぎるほどの幸せをお裾分けしてもらったので、今週はこのコラムを読んでいただいた方に少しでも幸せを提供できればと思う。

11月17日(日)に京都競馬場で行われるのはマイルチャンピオンシップ(GⅠ・芝1600m)。春のマイル王インディチャンプ、高レベルの争いとなった天皇賞・秋で2着だったダノンプレミアム、毎日王冠では出遅れながらも差し切り勝ちを果たしたダノンキングリーなど、好メンバーがそろった。 いつものように、馬場傾向から予想していく。 まずは先週の京都芝の馬場傾向から。

11/9・10京都芝コースの上がりⒸSPAIA

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芝コースでは合計13レースが行われた。タイム面では、土曜日に行われた1600m戦の2歳重賞、デイリー杯2歳Sの勝ちタイムが1:34.5、日曜日に行われたGⅠエリザベス女王杯が2:14.1といずれも平凡なタイムでの決着となった。

上がりタイムは、エリザベス女王杯を勝利したラッキーライラックが上がり32.8とずば抜けた数字をマークしたが、それ以外は34秒台の上がり決着となるレースが多かった。平均すると1着34.4、2着34.9、3着34.8で1〜3着までの平均は34.7となっている。

11/9・10京都芝コースの通過順位ⒸSPAIA

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各馬の4角通過時の順位を数値化した4角平均通過ポイントから脚質を見ると、1着馬が2.3P、2着馬も2.3P、3着馬は2.7Pとなっており、これらを平均すると2.4Pだった。先行、差しともに決まっており、ペース次第で台頭する脚質が変わってくる馬場だと言えるが、1つ顕著だった傾向は、内ラチ沿いを通った馬の台頭が目立った。今週からCコースに変わるので、この傾向は今週も続くことが予想される。内が有利ということは皆がそこを通りたいので、あまりに後ろの馬は厳しいだろう。

過去10年の傾向からは差し馬有利

続いて過去10年マイルチャンピオンシップの傾向についても見ていこう。

マイルCS過去10年の上がりⒸSPAIA

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まず上がりタイムは、GⅠらしく33秒台の上がりを使って勝利している馬がいる一方で、良馬場でも34、35秒台の勝ち馬もいる。平均上がりタイムを見ると、1着34.1、2着34.3、3着34.4で1〜3着の平均は34.2となっており、マイル戦のGⅠだということを考えると、全体的に上がりはかかる傾向にあると言ってもいいだろう。

マイルCS過去10年の通過順位ⒸSPAIA

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4角平均通過ポイントから脚質を分析してみると、1〜3着全ての平均が2.6Pで全体的に差しが有利の馬場傾向にある。ただし2018年のように最内を突っ込んでくる差し馬が3着以内に入っていることもあるので、枠順は外より内枠に入った方が有利になると考える。

これらの情報を踏まえたうえで、今回は過去10年の傾向は先週の馬場傾向とも通じるところがあると判断し、平均上がりが34.2、4角平均通過ポイント2.6を基準として予想していく。

前走の大敗は気がかりもデータ的には最上位

今年の出走馬の中からは、アルアイン、インディチャンプ、ダノンキングリー、ダノンプレミアム、プリモシーン、モズアスコットの6頭を推奨馬としてピックアップした。

2019年マイルCS出走馬の3着以内に好走したときの平均上がりⒸSPAIA

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本命は芝で3着以内の平均上がり34.1、4角平均通過ポイント2.6Pと最も基準値に近かったプリモシーンを推す。春のヴィクトリアマイルでは2着と実績は十分だが、気になるのは前走の大敗。月曜開催ということで調整に苦労した感があったし、ひと叩きされて変わり身はあるはず。昨年のマイルチャンピオンシップではステルヴィオを勝利に導いた豪腕、ビュイック騎手の手腕にも期待したい。

対抗は平均上がり34.0、4角平均通過ポイント2.5Pのダノンキングリー。実績や安定感を考えればこちらを本命にしてもいいくらいの馬だ。前走の毎日王冠の時のようにスタートで出遅れてしまうと、さすがに今回は厳しいのでスタートだけは決めてほしいところだ。

3番手はモズアスコット。平均上がり33.9、4角平均通過ポイントは2.8Pだった。近2回の馬券に絡んだレースがいずれもスワンSなので、1400mがベストなのかもしれないが、少し上がりがかかる馬場は合っている。この馬は当初デットーリ騎手に騎乗依頼していたくらいなので、調子が悪いということはないだろう。和田騎手も積極的にレースを進める騎手なので、それが返っていい結果につながる可能性もあるだろう。

安田記念を制したインディチャンプは平均上がり33.9、4角平均通過ポイントは2.9とやや後方の位置どりとなっている。ベストはもう少し高速馬場のように感じるが、実績と脚質に自在性があるので、好走しても不思議はない。

以下、4角平均通過ポイントが1.9Pだったダノンプレミアムと、平均上がり34.7、4角平均通過ポイント2.2Pながら、昨年3着だったアルアインまで押さえておきたい。

2019年マイルCSインフォグラフィックⒸSPAIA

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