「リピーター」を狙うべき条件とは?
今回のコラムのテーマは「リピーター」。重賞で3着以内に入った経験のある馬が、同レースで再び好走するケースで使われるフレーズだ。先週のエリザベス女王杯ではクロコスミアが3年連続2着。「リピーター」を狙える条件は何か、データから探ってみよう。
今回は過去5年(2014年11月15日〜2019年11月10日)の3歳以上・4歳以上重賞に絞り、過去に同レースで馬券になった経験がある馬、ない馬に分け、成績を調べてみる。
(過去5年の3歳以上・4歳以上重賞で馬券になった馬が、翌年以降も同重賞を使った際の成績を「経験あり」成績として集計する。例として2015年のフェブラリーS、1着コパノリッキーは2014年の同レースを制しているため、実際は「経験あり」となるが、2014年のレースは集計対象外のため、「経験なし」として集計する。また2018年京都で行われたJBC3レースは除外する)
ⒸSPAIA
表を見ると、同レースで過去に馬券になったことのある馬の方が成績が良い。
ただし回収率を見ると、経験あり:単勝回収率68%・複勝回収率73%、経験なし:単勝回収率63%・複勝回収率73%とほとんど変わらない。つまり、ただ好走経験のある馬を工夫なしに買い続けるだけで収支がプラスになることはない。
では、どのようにしてリピーターを狙えばよいのだろうか?
リピーターは中穴でこそ
下の表は「経験あり」馬の人気別成績。
ⒸSPAIA
1番人気の勝率4割は全体成績の1番人気より優秀な数字で、単勝回収率84%・複勝回収率77%もまずまず。だが、最も重要なのは、3〜8番人気まで全て複勝率20%台、9番人気でも16%をキープしている点。つまり、該当の人気範囲内で人気がなければないほど、リピーターの馬券妙味が増すということだ。表で網掛けした5〜9番人気に限定すると、単勝回収率132%・複勝回収率85%と数値が上昇する。
ⒸSPAIA
次に重賞のグレード別成績も確認。
GⅠが好走率・回収率両方で最も良い数字を残している(GⅢ単勝回収率82%・複勝回収率72%、GⅡ24%・52%、GⅠ91%・101%)。GⅠにおいても5〜9番人気に限定すると【5-5-4-29】で勝率11.6%・連対率23.3%・複勝率32.6%と上々の成績で、回収率に至っては、単勝回収率205%・複勝回収率109%だ。さらに芝では単勝回収率268%・複勝回収率125%まで跳ね上がる。
中穴程度の手頃な際が絶好の狙い目となる。
芝は5歳馬・ダートは6歳馬 牝馬限定戦にも注目
他にも様々なレース・馬の条件別成績を調べた。馬券的に面白いものを紹介する。
ⒸSPAIA
馬齢別成績では4歳馬がトップも、注目したいのは5歳馬。4歳馬と遜色ない好走率ながら、単勝回収率120%・複勝回収率93%は4歳馬の79%・79%を凌駕している。さらに全勝利を挙げている芝に限れば【19-13-10-59】で勝率18.8%・連対率31.7%・複勝率41.6%に上昇する。
ただ、ダートに限ると6歳馬が断然強い。6歳馬【4-3-4-22】(単勝回収率212%・複勝回収率80%)とそれ以外【0-5-2-61】(単勝回収率0%・複勝回収率39%)を比較すれば一目瞭然だ。2019年、中央で行われる古馬混合ダート重賞は12月のチャンピオンズC・カペラSと残すところ2レース。6歳馬がいればその馬から勝負して、ひと儲けしたい。
ⒸSPAIA
クロコスミアに限らず、各レースでリピーターが多い牝馬限定戦も見逃せない。全体成績が【7-4-5-35】で勝率13.7%・連対率21.6%・複勝率31.4%。単勝回収率199%は見事としか言いようがない数字だ。特にGⅠはヴィクトリアマイルで17年3着→18年1着と結果を残したジュールポレールなど好走例は枚挙に暇がなく【2-3-2-9】、複勝率は43.8%だ。
暮れの中山でターコイズSが控えるがGⅢでの数字も悪くない。4〜9番人気に支持された馬は【4-0-0-9】勝率30.8%、単勝回収率は驚異の481%をマーク。勝つか負けるかのデータなので、思い切って単系馬券で勝負したくなるデータだ。
ここまでリピーターが買える条件として強調したのは
①5〜9番人気程度の中穴
②GⅠ(特に芝)
③芝は5歳馬・ダートは6歳馬
④牝馬限定戦
このうち①〜③を満たしそうなのが今週のマイルCSに出走するペルシアンナイト。3歳で17年の同レースを制し、18年は勝ったステルヴィオからアタマ差の2着。2週続けて3年連続の好走馬が出るか注目だ。
《関連記事》
▶東大HCが徹底分析 「古馬の壁」は果たして存在するのか?
▶「ミッキー」は上級で買い!東大HCが騎手の「乗り替わり」を徹底分析
▶東大HCが「京都外回り」コースを徹底検証 過去のデータから見える金脈とは?
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。