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【マイルCS】データ、血統と全てが後押し 今年は春のマイル王が貫録を示す

2019 11/13 11:00門田光生
2019年マイルCSで本命に推されたインディチャンプⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

秋2走目が狙い

エリザベス女王杯はスミヨン騎手の好騎乗もあってラッキーライラックが勝利。2着には「6歳以上は苦戦」のデータをハネ返してクロコスミアが粘り込んだ。1番人気ラヴズオンリーユーは直線でフラついていたように本調子には及ばなかったのかも。「予定通りのぶっつけ本番」と「アクシデントで予定がずれてのぶっつけ本番」では、やはり意味が違うのか。今後も検証が必要だ。

さて、今週はマイルCS。その昔、というほど昔ではないが、このレースは日本で一番堅いGIといわれていたことがある。しかし、今では1番人気が5年連続で連対を外しており、その面影は見られない。

マイルCS出走馬の前走・所属・性別成績ⒸSPAIA

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過去10年のデータの中でも差があるものを挙げてみた。 まずは前走の成績。注目は前走で1秒以上離された馬の成績がかなり悪いこと。前哨戦といっても、負けすぎると本番で巻き返すのが難しくなるということだろう。

次は所属。西が8勝、東が2勝と大きく差がついている。2着の数も関西馬に軍配だ。性別はもっと明白で、牝馬は一度も連対していない。また、前走で1秒以上負けた馬も連対数はゼロだ。

マイルCS出走馬のローテーションⒸSPAIA

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このレースが秋緒戦というのはモーリスくらいの怪物級でないと勝ち負けできないので論外として、秋2走目なのか、それとも3走目なのかでも成績が変わってくる。以前はこれほど差はついていなかったが、ここ5年に限ってみると秋2走目の組が9連対。ひと叩きしてここ目標にしてきた馬が狙いとなる。

あとは表にはしていないが、ここ4年で外国人騎手騎乗の馬が実に7連対。短期免許で来日するシーズンにしても、この数字は特筆ものである。

血統的に推せる馬は?

たまには血統の話を。京都の外回りで行われるマイル戦は切れ味を問われる舞台。過去10年で見てもディープインパクト産駒が最多の5連対を果たしている。今回もディープ産駒の有力馬が何頭か出走するが、注目はダノンキングリーだ。血統のディープインパクト×Storm Catは特に相性のいい組み合わせである。代表的なところではキズナ(ダービー)やエイシンヒカリ(香港C・イスパーン賞)だが、サトノアラジン(安田記念)やアユサン(桜花賞)など、マイル実績馬も出ているのが心強いところ。

ディープ亡き後、日本の生産界を引っ張るだろうと言われているのがロードカナロア。今回出走するのはダイアトニックの一頭のみ。母がサンデーサイレンス産駒で、現役最強馬のアーモンドアイと同じ配合だ。ロードカナロア産駒は他のサンデー系種牡馬とも相性がよく、今年の皐月賞馬サートゥルナーリアや、マイル実績でいえばトロワゼトワル(京王杯AH)やケイデンスコール(新潟2歳S)などの活躍馬も、母の父にサンデー系の種牡馬がかけられている。

春のマイル王インディチャンプはステイゴールド産駒。三冠馬オルフェーヴルやゴールドシップ、フェノーメノなど中・長距離で活躍するイメージだが、アドマイヤリード(ヴィクトリアマイル)、ウインプリメーラ(京都金杯)、グランシルク(京成杯AH)、ウインガニオン(中京記念)などのマイラーも出している。マイルで活躍している馬の母系は米血が濃いというのも特徴だ。

春秋連覇へ!インディチャンプ

マイルCSの主な前哨戦は4つ。まずは昨年の勝ち馬ステルヴィオを輩出した毎日王冠。レース直後はダノンキングリーの強さだけが印象に残ったが、今回につながるレース内容という意味ではインディチャンプの方が上か。テンに口を割っていた以外は完璧な騎乗。絶好の手応えで伸びあぐねたのは叩き台ということ、そして1800mも多少は影響したのかも。最も前哨戦らしい競馬をしたといえる。4着のペルシアンナイトは衰えというより、ずっと何かがかみ合っていない気がする。見限るのは早計。

2つ目の富士Sは差し馬有利の流れ。それを思うと直線で追いだしを待たされたクリノガウディーと、先行勢で最も粘りを見せたエメラルファイトに食指が動く。

3つ目は、2010年のエイシンフォワード以来勝ち馬が出ていないスワンS。ここからの注目馬は勝ち馬のダイアトニックと3着マイスタイル。ダイアトニックは6勝中5勝が1400m。GIで善戦止まりの馬によくある非根幹距離が得意な馬にも思えるが、前走は外枠でもぴったり折れ合って差し切ったので、マイルがこなせないとは思えない。マイスタイルは2000m戦からの転戦を考えると、3着に来たのは正直驚いた。

最後は天皇賞・秋。2着のダノンキングリーは当然有力。直線半ばでフラフラしていたことを考えると上積みは大きそうだ。アルアインは内枠が有利の日で、大外枠では大敗も仕方がない。運がなかっただけ。データ的に前走で1秒以上離された馬の成績がかなり悪いのは気になるが、昨年のこのレース3着だし、押さえてはおきたい。

全てが合致するインディチャンプに期待

前哨戦の結果とデータを踏まえて、今回はインディチャンプに期待する。上記の通り最も前哨戦らしい競馬をしたこと、そして今回挙げたデータに全て適合することが理由。ちなみにインディチャンプが勝てば春秋マイルGI制覇となる。2010、2000年代ではモーリスとダイワメジャーしか達成していないが、1990年代にはノースフライト、タイキシャトル、エアジハードなどが達成しているように、三冠などと比べると難易度は低いといえるだろう。

外国人騎手が強いレースということで、相手には上記で名前を挙げ、かつ外国人騎手が騎乗するアルアイン、ダイアトニック、ペルシアンナイトは押さえる。特にペルシアンナイトは初コンビのマーフィー騎手が起爆剤になるのではと思っている。後は実力馬ダノンプレミアムとスワンSで驚かされたマイスタイル。ダノンキングリーは血統、実力的に買いだが、関西圏の競馬が初めて。加えて分の悪い美浦所属馬ということで消し。

◎インディチャンプ
○ダイアトニック
▲ダノンプレミアム
△ペルシアンナイト
×アルアイン
×マイスタイル


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《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。