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【菊花賞予想】ヴェロックスは馬場が合わない 馬場適性から浮上した本命馬は?

2019 10/17 11:00三木俊幸
2019年菊花賞インフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

台風の影響を受けるも稍重まで回復

10月20日(日)に京都競馬場で行われる菊花賞(GⅠ・芝3000m)。皐月賞を制したサートゥルナーリアは翌週の天皇賞・秋へ、日本ダービー優勝馬のロジャーバローズは故障で無念の引退となったため、春のクラシック優勝馬が参戦しないのは残念ではあるが、今年もスタミナ自慢が集結。今週も馬場傾向の観点からレースを分析していく。

はじめに3日間開催だった京都競馬場の芝のレース結果を振り返っておこう。

10/12・13・14 京都芝コースのレース傾向ⒸSPAIA

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土曜日は台風の影響で一時は開催が危ぶまれたほど。そのせいで、雨、風とも強く数年に1度というレベルの不良馬場だった。2歳未勝利戦ではあったが、1600m戦で1:39.2、2000m戦で2:08.4と今週に向けて全く参考にならないほど時計がかかっていた。しかし、日曜日と月曜日は馬場が回復して最終的には稍重でレースが行われた。

上がりタイムは、土曜日は40.3というダート並みの上がりの決着となったが、稍重に回復して以降は、34秒台の決着となったレースも4レースあり、勝ち馬の平均上がりは35.0となっていた。

脚質別では、逃げ2レース、先行8レース、差し6レースという内訳となっており、好位から中団を追走していた馬が多く勝利している。3日間の中で最も馬場状態が回復した月曜日の後半には、差し決着が多かったが、馬場さえ回復すれば先行有利の馬場となるだろう。 また、馬場傾向は先週が雨の中で競馬が行われただけに、多少の影響はありそう。GⅠ週でもそこまで時計は速くならないのではないか。

ロングスパートができる馬を狙え

次に過去10年の菊花賞の上がりタイムについて見ていく。

菊花賞過去10年の上がりⒸSPAIA

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10年のうち2013年と2017年は不良馬場での開催となったが、それ以外の8年は良馬場での開催となっている。スタミナ比べの長距離戦らしく、33秒台の決着となったのは2018年くらいで、基本的には34秒半ばから35秒台の決着になることが多く、1着馬の平均は35.3、2着馬平均35.3、3着馬平均35.7と特殊なレースだと言える。

菊花賞過去10年の通過順位ⒸSPAIA

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また3着以内に入った馬の通過順位を見てみると、道中10番手以下を追走している馬の好走が多く見られるが、4コーナー通過時にはある程度前を射程圏に入れられるポジションにまで進出していることが見てとれる。

特に勝ち馬においては、10年中7回が4コーナーを5番手以内で通過している。このことから、脚質はそれほど問われないが、ロングスパートできることが好走する上で必須条件だ。

今回は過去10年、全てが18頭立てだったが、4コーナーでの平均通過順位を表す際に、公平に分析できるように、今回から「4コーナー平均通過ポイント」を導入してみた。

これは4コーナーを通過したときに逃げていた馬に1ポイント、先行馬2ポイント、差し馬に3ポイント、そして追込馬に4ポイントを振り分けるというもの。出走各馬の4コーナーでの位置取りを分析する際に活用していきたい。 過去10年のポイントは、1着馬2.3ポイント、2着馬2.7ポイント、3着馬2.4ポイントとなっている。

悩み抜いた末の本命はレッドジェニアル

これらのデータをもとに、今年の出走馬の中から6頭をピックアップしてみた。

3着以内に好走したときの平均上がりⒸSPAIA

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6頭に絞ったところまでは良かったが、非常に悩ましいデータが導き出された。上がりタイムだけで言えば、過去10年の勝ち馬の平均35.3に最も近かったのはレッドジェニアルの35.4。しかし、4コーナー平均通過ポイントでは過去10年の2.3〜2.7には当てはまらず。

その4コーナー平均通過ポイントでは、2.4のサトノルークスとニシノデイジーが適性が高いものの、上がりはサトノルークスが35.0、ニシノデイジーが35.6と微妙な数値となっている。

そこで悩み抜いた末の結論として、レッドジェニアルを本命とすることにした。重視したのは、平均上がり35.4。スタミナ勝負にめっぽう強く、京都コースも(2,0,2,0)と好相性で京都新聞杯での勝利という実績もある。4コーナー平均通過ポイントは3.0と完全な差し脚質だが、前走の神戸新聞杯4着時は8頭立てながら2-3-3-3と先行するレースができたので、今回も4コーナーでは9番手以内を回ってきてくれると期待して本命に推す。

対抗はニシノデイジー。平均上がりは35.6と3着が精一杯のような気がする数値となっているが、北海道の小回りコースでも4コーナーで早めに動いて好走した実績があるのでスタミナ勝負は合っている。鞍上もルメール騎手に変わるのはプラスに働くだろう。

3番手はサトノルークス。この馬の強みは、4コーナー平均通過ポイント2.4という菊花賞向きの先行力に加え、立ち回りのうまさも兼ね備えている点だ。切れる脚はないので、できれば内枠を引いてロスなく立ち回りたい。

以下、ザダルは3000mの距離がどうか微妙なところだが、平均上がり34.8、4コーナー平均通過ポイントも2.3と適性はありそうだ。

ワールドプレミアは能力の高さと3000mの距離適性については強調できるが、勝負どころでエンジンのかかりが遅いので、スローの瞬発力勝負になった時に置いて行かれないか心配。

ヴェロックスは、実績を考えれば勝ってもおかしくない存在だ。戦ってきた相手が強いので平均上がりも速いだけかもしれないが、データからは6頭の中で最も離れてしまったので、評価を下げた。

2019年菊花賞インフォグラフィック


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