内を突いた馬が上位に
9月16日(月祝)、中山競馬場では菊花賞トライアルのセントライト記念(GⅡ・芝2200m)が行われた。午前中に激しい雨が降った影響で、重馬場でのレースとなった。1番人気は5.3倍でリオンリオン、2番人気のニシノデイジーは5.8倍、3番人気は6.8倍でザダルと上位人気は混戦となってレースを迎えた。
スタートでメイショウテンゲンが出遅れるなか、予想通りリオンリオンがハナを主張する。しかし、外からアトミックフォース、ナイママの2頭も勢いよく先頭をうかがう構えを見せ、2コーナー通過時にはアトミックフォースが先頭、2番手にナイママ、リオンリオンは3番手、そして2番人気のザダルは5、6番手の内でじっと足をためる形。前半1000mの通過は59.8という速いペースでレースは流れていった。
3コーナー過ぎから各馬が動き始め、4コーナー通過時には7頭が横に広がる形となった。アトミックフォースが先頭で直線コースへ向くと、大外から道中8番手を追走していたルヴォルグが勢いよく伸びる。しかし、スルスルと内から抜け出してきたのはリオンリオン。そのまま後続に2馬身差を付けて勝利。青葉賞に続いて重賞2勝目を挙げた。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
2着争いは接戦となったが、中団の内目をロスなく追走していたサトノルークスが2着に、3着は同じく内でじっと我慢していたザダルが入り、この3頭が10月20日(日)に行われる菊花賞の優先出走権を獲得した。
収穫が大きかった上位2頭 課題は速い時計?
勝ったリオンリオンは未勝利戦こそ差す競馬で勝利したものの、3走前の大寒桜賞、そして2走前の青葉賞はいずれも逃げる形のレースで結果を残していていた。それだけに今回、重賞でもすんなりと3番手から競馬ができたことは、距離が長くなる菊花賞を見据えると、大きな収穫だったと言えるだろう。
そして、2週連続で重賞制覇を果たした横山典弘騎手の手綱さばきが見事だった。高速決着になった時に対応できるか心配ではあるが、今後が楽しみだ。
8番人気ながら2着となったサトノルークスも、これまで先行するレースで結果を残してきたが、今回の通過順位は8-8-8-7と差す競馬ができたのは大きい。しかし、速い上がりを使えないタイプなだけに、重馬場が味方したとも考えられる。リオンリオン同様に高速馬場への対応がカギとなるだろう。
SPAIA予想陣では、東大ホースメンクラブが◎サトノルークス、○リオンリオン、△ザダルと上位3頭をしっかりと押さえており、3着まで的中。紫苑Sに続いて2週連続で完全的中となった。そして今回はしっかりと3連複10190円という万馬券を的中させ、配当妙味のある予想となった。
《予想記事》
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今週も阪神競馬場はレコード決着に
9月15日、阪神競馬場で行われた秋華賞トライアルのローズS(GⅡ・芝1800m)。ダノンファンタジー、ウィクトーリア、シゲルピンクダイヤなど春のクラシック戦線でも活躍したメンバーに加えて、上がり馬のスイープセレリタスも参戦。注目を集めた一戦を振り返っていこう。
スタート直後にダノンファンタジーが押し出されるように先頭に立つが、内からメイショウショウブ、外からシゲルピンクダイヤ、シャドウディーヴァと4頭が横並びになって牽制する展開となった。
しかしそれを尻目に、スイープセレリタスが大外から一気に先頭に躍り出る。さらに外からビーチサンバが2番手に上がり、馬群が一団となった状態で外回りコースの3コーナーへと向かっていった。
ペースが遅いように見えたが、前半の1000m通過は59.3と思った以上にペースは流れていた。4コーナーではスイープセレリタスとビーチサンバが並ぶ形となり、3番手にはウィクトーリア、シゲルピンクダイヤは5番手の内目で足をためて、最後の直線へ。
残り200mの手前でビーチサンバとウィクトーリアが抜け出し、内からもシゲルピンクダイヤが伸びてきていたが、そこに大外から強襲したのがダノンファンタジー。最後にきっちりと前を捉えた。勝ちタイムは1:44.4のレコード、先週のセントウルSに続いて、今週も重賞レースでレコードタイムが更新された。
2着には粘ったビーチサンバ、3着にはウィクトーリアが入り、この上位3頭が10月13日(日)に京都競馬場で行われる秋華賞の優先出走権を獲得した。
想像以上の瞬発力を発揮
特筆すべきはダノンファンタジーが使った上がり33.1というタイム。これまで33秒台の末脚を使ってはいたものの、桜花賞では完全に切れ負けした印象があり、正直ここまでの足を使うイメージがなかった。
夏休みを経て、馬体的にはあまり変わった印象はなかったが、このレースでしっかりと成長していることを証明した。2歳女王がこのままクラシック無冠で終われないだけに、秋華賞でも勝ちにいくレースをみせてほしいところだ。
そして4着のシゲルピンクダイヤは、これまで差す競馬で結果を残してきたものの、今回は先行するレースを見せた。しかし、最後に伸びそうで伸びなかっただけに、やはり差す競馬が合っているのだろう。今回の経験を糧にして、秋華賞ではどのようなレースをするのか注目しておきたい。
予想は、喜畑氏本命のウィクトーリアが3着と馬券に絡んだものの、勝利とはならず。三木氏はシゲルピンクダイヤを本命としたが、結果的に過去のローズSの上がりに近いダノンファンタジーが勝利したので、素直にデータを信用しておくべきだった。そもそも2着のビーチサンバを無印としている時点で、それを言っても仕方がないのだが…。大事なのは、反省を生かして次につなげること。また来週以降の予想に期待しよう。
《予想記事》
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マジカルが格の違いを見せつける
9月14日(日本時間15日)アイルランド・レパーズタウン競馬場では、欧州2000m路線における重要なレースであるアイリッシュチャンピオンS(GⅠ・芝2000m)が行われた。1番人気は、エネイブルやクリスタルオーシャンと僅差のレースを繰り広げてきたマジカル。前走ナッソーSを制して挑んできた日本馬ディアドラは3番人気に推されていた。
内枠からポンと好スタートを切ったハンティングホーンが予想通りハナへ、そして2番手にはライアン・ムーア騎手が騎乗したマジカルと、エイダン・オブライエン厩舎の2頭がレースの主導権を握る展開となった。
3番手には75000ユーロ(約900万円)の追加登録料を支払って出走してきたエラーカム。その直後のインコースに今年のイギリスダービー馬アンソニーヴァンダイクと続く。日本馬のディアドラは後方2番手、最後方にヘッドマンという隊列で各馬が一団となったまま直線コースへと向かった。
先に抜け出したマジカルに対し、外から最後方を追走していたヘッドマンが襲いかかるが、間から中団を追走していたマジックワンド、そして内からはアンソニーヴァンダイクも差を詰める。
しかし勝ったのはマジカル。このメンバーでは力の違いを見せる形となった。接戦となった2着争いを制したのはマジックワンド、3着はアンソニーヴァンダイクでオブライエン厩舎が上位3頭独占という結果に終わった。
見せ場たっぷりの4着
ディアドラはゴール前で、ものすごい追い込みを見せての4着だったが、直線に向いた時に一瞬前が壁になって追いだしが遅れたのが痛かった。だが、前走のナッソーSよりも強力なこのメンバー相手に見せ場たっぷりのレースができたことは大きな収穫。
5着となったヘッドマンは一瞬伸びてきそうな勢いだったが、ゴール前で末脚が鈍る形のレースとなってしまった。やはりこれまで戦ってきた相手よりは格段にメンバーレベルが上がったのが影響したのだろう。今後の成長に期待したい。
エラーカムはいつものように先行するレースを見せたが、ズルズルと失速して7着に終わった。本調子ではなかったのかもしれないが、切れる足がないことが原因かもしれない。スタミナ比べになったら持ち味を発揮するタイプなので、この1戦だけで見限るわけにはいかない。
さてSPAIA予想陣の結果は、三木氏が本命マジカルを的中させたものの、2着のマジックワンドは無印に。東大ホースメンクラブは7番人気と人気薄だったマジックワンドを対抗に推していたものの、5着のヘッドマンを本命にしており、マジカルは単穴評価に。惜しくも的中とはならなかった。
《予想記事》
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