外差し傾向は見られるが…
8月25日(日)に新潟競馬場で行われるのは新潟2歳S(GⅢ・芝1600m)。昨年の勝ち馬ケイデンスコールがNHKマイルCで2着に入るなど、来年のクラシックや3歳マイル路線を占う上でも重要な一戦だ。来年まで追いかけたい馬、ここでこそ買いたい馬など、今回もデータを参照しながら検討していく。
新潟2歳Sは夏の新潟開催5週目という終盤に行われるレースである。直線の長い新潟外回りではこの時期になると馬場状態の悪い内側を避けて、極端に言えば外ラチ沿いまで持ち出した差し馬が台頭する競馬も見られる。当レースも例外ではなく、外枠や差し追い込み馬の好走例が多い。
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表にあるとおり、過去10年で5~8枠が7勝を挙げていて、7・8枠はともに4連対。これを見ると、外枠が好調だと分かる。
ただ、一方で、1・2枠の成績も決して悪くない。最後の直線で全馬が内を空けるのを逆手にとって内を抜けてきた、15年の覇者ロードクエストのような競馬もはまるレースである。
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脚質別でも差し、追い込み馬の活躍が多いのは印象通り。そうはいっても、各馬キャリア1~2戦程度しか経験しておらず、脚質が固まっていないため、戦前に隊列を読むのは困難だ。
そこで、前走の上がりタイムに注目すると、前走の上がり3Fがメンバー中3位以下だった馬が大苦戦していることが分かる。これに該当する馬は消し評価が妥当だが、今年のメンバーは前走上がり2位以内という馬が非常に多く、このデータであまり絞り込めないのが頭の痛いところである。
中2週以内のローテは鬼門
続いて出走間隔に注目する。新潟2歳Sでよく言われるのは「ダリア賞組が来ない」ということだが、これはダリア賞からのレース間隔が中2週になってからの傾向である。実際、かつて中3週だった時代はシンメイフジやマイネルラクリマなどダリア賞経由の好走例もある。
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表に示したように過去10年で中2週以内で馬券に絡んだのはミュゼスルタンだけ。酷暑の中での連戦はこの時期の若駒にはこたえるようだ。今年は人気の一角を担うウーマンズハートがこれに該当する。厳しいデータを跳ね返せるか、注目したい。
また、中2週ほど極端ではないが、中3週でも間隔としてはやや不十分という数値が出ていることから、必然的に前走が新潟開催以前だった馬を中心視することになりそうだ。
派手さでは劣っても
配当的な魅力も踏まえて、本命はグランチェイサーにする。前走の上がりは34.6でメンバー中2位。2着馬との着差もクビという一見地味な内容だが、好位で道中我慢が利いて、直線は最後までしぶとく伸びて勝ち切った内容が好印象。この時下したインザムービーが次走できっちり勝ち上がった点も評価できる。ちなみに、前走が東京で上がり2位だった馬は【0-2-2-2】と好調だ。
配当度外視なら本命にしたいのがモーベット。新馬戦のラップは
12.8 - 11.5 - 12.3 - 12.8 - 13.1 - 11.8 - 11.4 - 11.2
というもの。
函館2歳S時に述べた“加速ラップ”である。
これと比較してこちらのラップも見てもらいたい。
13.1 - 11.6 - 12.8 - 12.9 - 13.1 - 11.8 - 11.2 - 11.0
こちらは昨年10月に東京芝1600mで施行された、ダノンキングリー(のちに皐月賞3着・ダービー2着)が勝利した新馬戦のラップである。この時の2着馬はオークス2着のカレンブーケドールで、いわゆる“伝説の新馬戦”なのだが、モーベットの新馬戦がこれとよく似ているのが分かるだろう。机上の計算だが、順調に行けば既にGⅠ好走が約束されていると言っても過言ではない。当然ここでも大崩れは考えにくい。
3番手はウインカーネリアン。東京の新馬戦に敗れたあと福島芝1800mで勝ち上がり、ウイン×松岡騎手という点で、15年2着ウインファビラスと重なる。この馬はタイプ的に多少タフな流れになった時に浮上してきそうだ。
ウーマンズハートが新馬戦で見せた上がりは32.0。2歳馬の上がりタイムとしては史上3頭目で最速タイ(2017年ウラヌスチャーム、2014年ジャストドゥイング)。これもモーベット同様に“規格外”の末脚と言える。内容自体には文句のつけようもないのだが、中2週で臨む馬の成績があまりにも悪いため△評価に留めた。
以下、前走が加速ラップのペールエール、同コースで鮮やかに差し切ったタイムマシン、新馬戦を3馬身差で勝ったクリアサウンドまで押さえたい。
▽新潟2歳S予想▽
◎グランチェイサー
○モーベット
▲ウインカーネリアン
△ウーマンズハート
△ペールエール
△タイムマシン
△クリアサウンド
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東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。