「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【札幌記念】“3強”に割って入る馬はいるのか? 東大ホースメンクラブの本命はこの馬

イメージ画像ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

函館記念組を買うなら脚質に注目

8月18日(日)に札幌競馬場で行われるのは札幌記念(GⅡ・芝2000m)。今秋の凱旋門賞挑戦を表明しているフィエールマン、ブラストワンピースと昨年のダービー馬ワグネリアンがぶつかる一戦だ。“3強”の中で本当に買うべきはどの馬か、また3強以外で割って入る馬はいるのか。今回もデータを参照しながら検討していく。

札幌記念は夏場の古馬重賞には珍しい定量戦。GⅠを勝っているような馬は斤量面を考えるとここくらいしか使うレースがないため、毎年好メンバーが集まる。特に近年は凱旋門賞へ遠征予定の日本馬が前哨戦として、札幌記念を選択するケースも増えている。

まずは、過去10年(函館開催の13年を除く9回)の前走レース別成績を見てみよう。

過去10年の札幌記念の前走レース別成績ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

今年は該当馬がいないため表から割愛したが、前走・宝塚記念組は10頭が出走して3着以内が5回と好調。本来ならここから軸馬を選びたいところだが、いないものは仕方がない。それ以外で好走率が高いのは安田記念組。昨年の勝ち馬サングレーザーもそれまでマイル以下で良績を残していた馬だった。

“3強”の臨戦過程である天皇賞・春、大阪杯、目黒記念からの参戦はサンプルが少なく、どれも異例と言ってよい。フィエールマンに関しては、同年の天皇賞馬が札幌記念に出走すること自体、データをさかのぼれる1980年以降では初だ。ただ、休み明けで出走する馬の成績が悪いレースではないので、心配は無用だと思う。

札幌記念で馬券に絡んだ函館記念組ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

出走頭数が断然多い函館記念組だが、馬券になったのはわずか6頭。この6頭には「函館記念で2角8番手以下、そこから4つ以上着順を上げて入線」という共通項があった。函館記念は小回りな上、多頭数になりやすく差し不利だが、コーナーが緩い札幌、かつ少頭数になりやすい札幌記念では末脚が生きる。穴を狙うならこの点に注目してみたい。

内枠に妙味あり

続いて枠順別の成績に注目する。3枠が3着以内に8回入っているほか、1・2枠の成績もよく、内枠有利。

札幌で施行された過去10年の枠別成績ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

内枠からは人気薄でも馬券に絡む馬が多いため、単複の回収率も極めて高い。過去10年で最も荒れた17年に至っては馬番1~3番がそのまま1~3着に入った。対照的に8枠から馬券になった3頭は全て人気馬で、回収率が極端に低い。わざわざ外枠に入った馬を買うメリットはない。

今年のメンバーのように人気馬が明確で、お互いを意識するような場合、勝負どころから外を回って真っ向勝負となるケースが多い。そうなった時に内枠からロスを抑えて立ち回った馬が一角崩しをやってのける、そんなシーンも想定しておくべきだろう。

最高の枠を引いたブラストワンピース

本命は1枠を引き当てたブラストワンピース。クラシックではワグネリアン、フィエールマンに敗れたが、ダービーはワグネリアンの福永騎手にうまくフタをされ、菊花賞は超スローペースの大外から追い込んで届かず。勝負付けが済んだとは思わない。

前走の目黒記念もダービー当日の超内有利高速馬場で59キロを背負って大外を強気に進出する競馬で、足をためられる場面がなかったのが敗因。最内枠で評価が上がるタイプではないだろうが、実は毎日杯のように器用な競馬もできる。テン乗りとなる川田騎手が能力を生かしてくれれば逆転可能だ。今のところ日曜は晴れ予報だが、仮に馬場が渋ればさらにプラス材料となる。

対抗はワグネリアン。大阪杯直後から早々に宝塚記念の回避を表明し、ここに照準を定めてきた点に好感が持てる。データ上は不利な外枠だが、ゲートの速い馬ではないし、追い出してからトップスピードに乗るまで少し時間がかかる面があるため、この馬に限って言えば好枠と言えそうだ。

3番手はフィエールマン。特殊なローテはこの馬に関して今さら懸念材料にはならない。ただ、昨年のラジオNIKKEI賞と今年のアメリカJCCを取りこぼしたように2000m前後の距離は若干忙しい印象もある。真価は2400m以上と見ているので、裏を返せばここは“そこそこ”の走りをしてもらって、凱旋門賞をおいしいオッズで買わせてほしいと思う。

3強に割って入る馬がいるとすれば、という観点から2頭挙げると、まずはペルシアンナイト。大阪杯は11着だが外を回って進出した挙げ句、最後の直線で狭くなって控える不利。前走の安田記念もスタート直後に致命的な不利があった。皐月賞2着や大阪杯2着時のように内々を器用に立ち回ってくる競馬なら浮上の余地はある。と、思っていたが外枠を引いてしまったので、あくまで相手の1頭に留めたい。

もう1頭は函館記念組の好走条件を満たすナイトオブナイツ。前走は2角13番手から5つ順位を上げて8着だった。3枠4番という絶好枠と、無欲の競馬をできる立場が強み。正直2000mよりは1800mの方がいい馬だが、全く人気にならないだろうから押さえておいて損はない。

▽札幌記念予想▽
◎ブラストワンピース
○ワグネリアン
▲フィエールマン
△ペルシアンナイト
穴ナイトオブナイツ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。

《関連記事》
【札幌記念】1番人気は連対率80% データ的にドンピシャなのはあの馬
【札幌記念】平均上がりは35.6 過去の馬場傾向から合うのは小回りでもダービー馬
【札幌記念】注目すべきデータは「重賞勝ち馬」「1番人気」「前走重賞出走馬」「ルメール」